Googleは「Google Cloud Next 26」において、企業向けAI「Gemini Enterprise」の強化と新たなエージェント基盤を発表した。
AIエージェントの構築から運用までを統合し、組織単位での活用を前提とした機能群を提示している。
エージェント基盤とTPUを発表
2026年4月22日、Googleは開発者会議「Google Cloud Next 26」で複数の新製品を発表した。
その一環として、企業向けAI「Gemini Enterprise」を強化し、AIエージェントの構築・利用・展開・管理を一体化する方針が示された。
その中核としてGoogleは、新たに「Gemini Enterprise Agent Platform」というプラットフォームを公開した。これは、Vertex AIの機能に加え、Agent Studio、エージェント間オーケストレーション、エージェントレジストリ、エージェントID、エージェントゲートウェイなどを統合したもので、エージェントの開発から管理までを包括的に扱う構成となっている。
Gemini Enterpriseでは、Gemini 3.1 ProやFlash Image、Lyria 3に加え、AnthropicのClaudeシリーズへのアクセスも提供される。2026年4月22日からはClaude Opus 4.7のサポートも追加された。
また、従業員向けの「Gemini Enterpriseアプリ」、エージェント構築ツール「Agent Designer」、長時間稼働型エージェント、アクティビティ管理機能「Inbox」なども提供される。
セキュリティ分野では、脅威検知を目的としたエージェント型ソリューションやAIアプリ保護基盤も発表された。
ハードウェア面では第8世代TPUを投入した。トレーニング向け「TPU 8t」は従来比で処理能力が約3倍、電力効率は最大2倍に向上したという。
さらに、Googleの社内開発では新規コードの75%がAIによって生成されており、2025年秋時点の50%から増加したことも、合わせて発表された。開発速度は1年前と比較して約6倍に向上したとされる。
組織単位AI運用の現実性と課題
今回の発表は、AI活用の単位が個別ツールから組織全体へと拡張する流れを示している。
エージェントの構築から管理までを一体化することで、業務プロセス全体を横断した自動化が実現しやすくなる点は大きな利点だろう。
また、複数モデルの統合利用や専用TPUによる処理最適化により、コスト効率と性能の両立が図られる可能性がある。
従業員向けアプリを通じてAIを統一的に提供する構造も、導入ハードルの低減につながる要素となるだろう。
一方で、エージェントの大規模運用は管理負荷の増大を伴うと考えられる。権限設定や挙動の監視、セキュリティ統制などの設計が不十分な場合、業務リスクが拡大する懸念は依然として根深い。
特に複数エージェントが連携する環境では、予期しない動作の影響範囲が広がる可能性も考えられる。
今後は、こうした基盤をどこまで実運用に適合させられるかが焦点となるだろう。
エージェントを単なる補助ツールとしてではなく、組織の中核機能として扱う体制構築が進むかどうかが、企業の競争力に影響を与える局面に入ったと言える。
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