博報堂DYがCIOアワードでAI賞受賞 人間中心の視点で進めるAI活用

日本の広告大手である博報堂DYホールディングスは、CIO Japanが主催する「CIO 30 Awards Japan 2025」においてAI賞を受賞したと発表した。
AIを活用した業務変革と創造性拡張の取り組みが、日本国内で高く評価された形だ。
CIO 30 Awards Japanで博報堂DYがAI賞を受賞
2025年12月16日、博報堂DYホールディングスは、CIO Japanが主催する日本初の「CIO 30 Awards Japan 2025」において、AIを活用したビジネス価値向上と業務効率化の実績が評価され、AI賞を受賞したと発表した。
同アワードは米国で30年以上前に始まり、現在は英国やシンガポール、ドイツなど主要テクノロジー市場で開催されており、「テクノロジー業界のオスカー」とも称される。
日本開催は今回が初となり、DXや生成AIの社会実装が進む中で、戦略的役割を担うCIOやIT部門の先進事例を顕彰する目的がある。
博報堂DYグループでは2024年4月、AIの先端研究と技術開発を担う「Human-Centered AI Institute(HCAI)」を設立した。
人間中心のAIを軸に、クリエイティビティの進化と拡張を掲げ、グループ横断でAI施策を推進してきた点が特徴である。
博報堂DYホールディングスは、AIを活用して業務改革を進めると同時に、AIとの共創を通じたマーケティング支援の高度化を今後の方針としている。
さらに2025年8月からは、若手社員と経営層が相互に学ぶ「AIメンタリング」制度(※)を導入し、世代を超えた知識融合を図っている。
同社は、これらの施策を通じて組織文化改革とユースケース創出を進めている。
※AIメンタリング:若手社員のAI知識と経営層の経験知を相互に共有し、世代間の学び合いを促進する社内制度。AI活用を起点に組織文化の変革を図ることを目的とする。
人間中心AIの評価が示す展望と課題
今回の受賞は、AIを単なる業務効率化ツールにとどめず、組織文化や創造性の変革に結び付けた点が高く評価された結果と考えられる。
経営層と若手がAIを媒介に対話する仕組みは、意思決定の質を高め、企業全体の学習速度を引き上げる可能性がある。
マーケティング分野では、データ活用と人の洞察を組み合わせた高度な支援モデルの構築が期待される。
一方で、AI活用の高度化にはリテラシー格差やガバナンス整備といった課題も伴う。
特に創造領域では、AI依存による表現の均質化や判断のブラックボックス化がリスクとして指摘されている。
人間中心という理念を維持し続けるには、運用ルールと教育の継続的な更新が欠かせないだろう。
博報堂DYホールディングスが掲げるAIとの共創型マーケティングは、広告業界における新たな指標となり得る。
今回のAI賞受賞は、その方向性が国内外において一定の説得力を持ち始めていることを示す出来事と言える。
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