売れるネット広告社がAI導入を本格化 成果報酬型広告の最適化で競争力を強化

2025年12月10日、売れるネット広告社グループ(日本・福岡)は「最強の売れるメディアプラットフォーム」に高度なAI機能を導入したと発表した。媒体選定から成果改善までを自動化し、成果報酬型広告(※)モデルの収益性向上を狙う施策となる。
AIで広告成果を最大化 媒体選定・配置改善が自動化へ
今回追加されたAIは、媒体ごとの成果傾向や案件との相性を自動解析し、成果につながりやすい組み合わせを可視化する役割を担う。特集ページでは、美容や健康などジャンル別の成果データをもとに、最適な案件配置を提案し、CVRの向上を後押しする仕組みだ。さらに、掲載順や訴求内容の改善ポイントを提示し、媒体側の運用サイクルを高速化する。
背景には、ユーザー行動や媒体特性が急速に変化し、手動運用だけでは成果の最大化が困難になっている広告市場の構造的課題がある。成果報酬型広告では、反応率のわずかな差が売上に直結するため、データ解析と運用精度の高度化は不可欠と言える。
AIは成果トレンドの伸び兆候も予測し、ポテンシャルの高い案件を優先的に媒体へ案内する。これにより、収益性の向上や成果の安定化が期待され、媒体ネットワーク全体の質を底上げする基盤が構築されつつある。同社は、今回の導入が2026年7月期の業績にもプラス寄与するとの見通しを示した。
※成果報酬型広告:購入・申込・登録など特定の成果が発生した場合にのみ広告費が発生する広告方式。媒体ごとの成果管理が収益に直結する。
最適化の進展がもたらす利点と依存リスク 業界の再編も視野に
AI導入の利点としては、媒体・広告主・ユーザーの三者に効率化メリットが広がる可能性がある。媒体側は収益性の高い案件配置を行いやすくなり、広告主にとっても成果改善の余地が広がるとみられる。
ユーザーにとっても、興味関心により近い訴求に触れる機会が増えることで、体験価値が向上することが期待される。
一方で、AIの判断に過度に依存することによる課題も指摘される。
アルゴリズムが特定の案件を偏って推奨した場合、媒体の多様性が損なわれる恐れがあるほか、市場変動が急激な局面では、学習モデルの追随速度が成果に影響する可能性もある。
同社が予定する成果スコア機能や掲載位置の自動最適化は、広告運用の透明性向上につながると見られる。また、オフライン媒体とのデータ統合が進めば、広告評価の軸が多層化し、市場全体の構造に変化をもたらす可能性もある。
AIを軸とした最適化競争が進む中で、各社が独自性と運用精度をどう両立させるかが、今後の成長を左右するポイントになりそうだ。
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