AIインフルエンザ検査を松山の医療機関が導入 喉の撮影から10秒で判定

2025年11月20日、松山市の医療機関ではAIを活用したインフルエンザ検査が本格的に運用されています。県内では感染者数が警報レベルに迫る勢いで増加しており、痛みが少なく即時判定できる新技術として注目されている。
松山でAI検査を本格導入 10秒判定と負担軽減に期待
愛媛県ではインフルエンザ感染者の増加が続き、11月16日までの1週間で1医療機関あたり平均27.33人を確認した。前週から約7人増え、注意報が継続しつつ警報基準に近づく状況にある。松山市の「おかだ耳鼻咽喉科」でも11月に入り1日に約20件の検査が行われ、半数以上が陽性だった。
従来、鼻腔へ綿棒を入れる抗原検査が一般的だが、不快感や痛みから敬遠されることが多かった。こうした課題を受け、同院は20日にAIを用いた新検査の運用を開始した。口を開けて「あー」と声を出すだけで喉を撮影し、AIが赤みや光沢、リンパの腫れなど複数の特徴を解析して感染の有無を判断する方式である。
解析結果は撮影から約10秒で確認でき、従来のキット検査より大幅に短縮される。岡田昌浩院長は「痛みがなく、判定までの時間も短い」と利点を述べる。対象は6歳以上。
AI検査が広げる医療効率化の可能性と運用課題
AIを用いた喉画像診断は、繁忙期の医療現場に複数の利点をもたらす可能性がある。痛みを伴わない検査方法は、子どもや高齢者の心理的な抵抗感を和らげ、受診行動を後押しすることが期待される。
また、判定までの時間が10秒程度に短縮されることで、外来の混雑緩和や医療スタッフの業務負荷の軽減に寄与する可能性もある。こうした即時性は、インフルエンザ流行期や年末年始のピーク時にこそ効果が発揮されるだろう。
医療全体の視点では、AIの活用が診断プロセスの標準化を進め、地域による医療品質の差を縮める助となるとの見方もある。一方で、喉画像のみを用いる診断方式である以上、照明条件や撮影角度といった環境要因が精度に影響する可能性は否めない。
AIの判定を最終判断にどう位置づけるか、医師による確認プロセスをどの程度残すかといった運用ルールの整理は避けて通れない。
さらに、画像データの取り扱いには慎重さが求められる。AI検査が広く普及するほど、個人情報保護やデータセキュリティの強化は重要性を増し、医療機関には体制整備が求められる。外部サービスとのデータ連携を行う場合は、監査やアクセス管理の見直しも必要になるだろう。
今後は、喉画像診断で得られた知見が、他の感染症や慢性疾患の早期スクリーニングにも応用される可能性がある。AI検査の普及は、診療の迅速化や患者体験の向上を後押しする一方で、技術の精度向上と運用ルールの確立が並行して求められる領域と言える。
お知らせ「インフルエンザ検査機器「nodoca」を導入しました」
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