米サークル、USDC流通2倍超で増益 利息収入が収益押し上げ

2025年11月12日、米ステーブルコイン発行企業サークル(Circle)が第3四半期決算を発表した。主力通貨「USDC」の流通増加により利息収入が拡大し、ウォール街予想を上回る増益となった。
USDC流通急増で利益拡大も株価は調整
サークルの第3四半期決算は、USDC流通額の前年比2倍超という大幅増を背景に、予想を上回る増益を計上した。
USDCは法定通貨や米国債を裏付けとするステーブルコイン(※)で、サークルはこれら準備資産からの利息収入で収益を得ている。第3四半期末の流通額は737億ドルに達した。
同社の1株当たり調整後利益は0.36ドルとなり、アナリスト予想の0.22ドルを大きく上回った。売上高も前年同期比66%増の7億3,980万ドルに達し、USDC発行元としての収益構造の安定性が際立つ結果となった。
世界的にステーブルコインの採用が拡大し、各国当局が規制やルール整備に乗り出す中、米国では「ジーニアス法(Genius Act)」によりデジタル決済の安全性向上が図られている。
サークルも米国内外の伝統的金融機関との提携を進め、USDCの利用拡大に向けた施策を複数展開している。
一方で、同社の株価は12日に10%下落した。米タイガー証券のボー・ペイ氏は、通期粗利益率見通しの38%への引き下げにより、第4四半期の業績悪化が示唆されたと指摘している。
クリア・ストリートのオーウェン・ラウ氏は、開発中の独自ブロックチェーン「アーク(Arc)」上でのネイティブトークン発行がUSDC採用に影響する可能性を挙げた。
※ステーブルコイン:法定通貨や資産で価値が裏付けられた暗号資産で、価格変動を抑える目的で設計されているコイン。
USDC成長の波及効果と株価リスクをどう捉えるか
USDC流通拡大は、サークルに収益安定化やデジタル金融基盤構築の利点をもたらすだろう。
法定通貨裏付けのステーブルコインは、送金や決済の安全性を高め、従来金融と暗号資産の橋渡し役として機能する可能性がある。企業の資金管理や国際送金コスト削減などにも波及効果が期待できそうだ。
一方、株価面では高いバリュエーションがリスクとなり得る。
投資家の期待が織り込まれすぎると、四半期ごとの業績変動に敏感に反応しやすいため、市場の調整局面で急落する恐れがある。準備資産運用の利回り低下や競合増加も警戒要因だ。
また、USDCのグローバル採用が進む中では、規制の変化は追い風にも逆風にもなりうる。各国当局のルール整備が進めば市場の安定性は高まるが、規制の遅れや不透明性は取引コストや採用速度に影響を与えかねない。
今後は、USDCが金融機関や企業の資金フローにどれだけ浸透するかが焦点となるだろう。
サークルが新技術や提携戦略で優位性を維持できれば、収益基盤の安定化と株価の長期的成長が期待できそうだ。
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