イオレ、約1億円でビットコイン追加購入 暗号資産財務戦略を強化

2025年11月7日、東証グロース上場のイオレは、約1億円相当のビットコイン(BTC)を追加取得したと発表した。
「Neo Crypto Bank構想」の初期トレジャリー運用の一環として実施されたもので、暗号資産を中核とする新たな金融戦略を加速させる狙いがある。
イオレ、6.3BTCを追加取得 自社トレジャリー戦略を拡大
イオレは10月24日から11月7日の期間に、約6.3458BTC(総額9,999万9,021円)を取得した。平均購入単価は約1,575万8,300円で、累計保有量は約37.395814BTCに達した。累計平均取得単価は約1,740万円となる。
今回の購入は、新株予約権の行使による資金調達の進捗を受けて実施されたもので、同社が掲げる「Neo Crypto Bank構想」の実行フェーズに位置づけられる。
「Neo Crypto Bank構想」は、DeFi(分散型金融)などWeb3領域へシームレスにアクセスできる金融基盤の構築を目的としており、自社資産を暗号通貨で運用するトレジャリー(※)を中心に据える。
イオレは8月に中期経営計画を発表し、暗号資産金融事業を中核事業に位置づけた。
特にトレジャリー運用とレンディング(貸付)を両輪とし、資産価値の上昇と運用収益の両面を追求する戦略を掲げている。
また、同社は10月に暗号資産レンディングサービス「ビットレンディング」やWeb3メディア「アイオライト」を運営するJ-CAMと戦略的提携を締結している。
さらに9月には、暗号資産クレジットカード「SlashCard」を提供予定のスラッシュビジョンと資本業務提携を行っており、暗号資産を活用した金融エコシステムの構築を進行中だ。
※トレジャリー:企業が自社資金を暗号資産などで保有・運用し、資産価値上昇や運用益を狙う財務戦略のこと。
先行企業として注目高まる一方、価格変動リスクも
イオレの取り組みは、国内上場企業の中でも先進的な事例といえる。
企業自らが暗号資産を保有・運用し、財務戦略の中核に据える動きは、Web3時代の企業モデルを先取りするものだ。
金融市場では、こうした先行的な実践が将来的な企業価値の上昇要因として評価される可能性がある。
一方で、ビットコインは依然として高いボラティリティ(価格変動性)を持つ資産であるため、評価損益が業績に影響するリスクも孕む。
特に、企業の保有資産としては会計上の変動リスク管理が課題となり得る。
今後は、ヘッジ手法や分散運用の導入など、安定的な財務戦略の確立が鍵を握るだろう。
イオレのような先行企業が具体的な実践を重ねることで、暗号資産を含む企業財務の新しいスタンダードが形成される可能性もある。
市場参加者や規制当局もこうした動きを注視していると思われるため、日本企業の暗号資産活用のモデルケースとして、今後の展開が期待される。
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