OpenAI、法人顧客が世界で100万社を突破 企業導入が加速

2025年11月5日、米OpenAIは、法人顧客数が世界全体で100万社を超えたと発表した。ChatGPT for WorkやAPIを通じたビジネス利用が急拡大し、金融、医療、小売、製造など幅広い業界でAI導入が進んでいる。
ChatGPT for Workが急伸、OpenAIが法人市場を席巻
OpenAIは生成AIを活用した法人向け事業で、急速に成長を遂げている。
ChatGPT for Workや開発者向けAPIを通じた有料契約企業が世界で100万社を突破し、Amgen、Booking.com、Cisco、Morgan Stanleyなど各業界のリーディングカンパニーも導入を決定した。
背景には、個人利用の広がりが企業導入を後押ししている点があるとOpenAIは分析している。
週次で8億人を超えるChatGPT利用者が既にAIに慣れており、導入時の教育コストや試験運用の期間が大幅に短縮された。
ChatGPT for Workの契約数は2か月で40%増、エンタープライズ向けでは前年比9倍に拡大している。
さらに、OpenAIは企業利用を支える新機能を相次いで提供している。SlackやGoogle Driveなどの業務ツールを横断して情報を分析する「Company Knowledge」、コード生成モデル「Codex」、AIエージェント構築キット「AgentKit」などがその代表だ。
Ciscoではコードレビュー時間を50%削減し、投資会社CarlyleではAI導入による開発期間短縮と精度向上が報告されている。
また、画像生成APIや動画生成モデル「Sora 2」、音声処理「Realtime API」などマルチモーダル機能も強化した。
AI投資の成果と課題 新たな業務OSへ進化する可能性
AI導入の投資対効果(ROI)はすでに顕在化している。
ウォートン大学の調査では、75%の企業がAI導入で正のROIを報告し、負の成果を示した企業は5%未満にとどまったという。
たとえばIndeedの実績では、OpenAI APIを活用して採用機能を最適化し応募率を20%向上、Lowe’sは1,700店舗で専門的なプロジェクトガイダンスを導入し、従業員を強化した。
このように、AI導入による利益増加は実際的なものとして期待できる段階に入っていると言える。
一方で、課題も残る。AI導入にはデータガバナンスや情報漏洩リスク、インフラ整備コストといった障壁があるため、組織文化やセキュリティ体制の刷新が求められる。
AIを「業務の中核」として定着させるには、経営層の理解と社内教育が不可欠だ。
とはいえ今後も、企業がOpenAIを自社アプリケーション基盤として活用する動きは広がり続けるだろう。
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