パープレキシティ、AI特許検索「Perplexity Patents」公開 自然言語で特許調査を可能に

2025年10月30日、米AI企業パープレキシティ(Perplexity)は、AIによる特許検索サービス「Perplexity Patents」を正式に公開した。
複雑な専門用語を使わず、自然言語による検索で特許情報を横断的に調べられるエージェント型ツールとして注目できる。
誰もが使えるAI特許検索エージェント、世界同時ベータ提供開始
発表された「Perplexity Patents」は、AIが文脈を理解して最適な特許情報を提示する新しい検索サービスだ。
パープレキシティ社はPerplexity Patentsを、「世界初のAI特許調査エージェント」と称している。
従来の特許検索は、専門的な分類コードや精密なキーワード設計が必要だったが、このサービスは自然言語での質問を受け付け、AIが関連特許群を即座に抽出・要約する点が特徴だ。
たとえば「2024年以降の量子コンピューティング特許は?」「語学学習AIの特許動向は?」といった質問を入力すれば、特許文献への直接リンクや要約を含む回答が提示されるという。
さらに、質問の意図を保持したまま追質問を重ねられる対話型設計も特徴だ。
また、単純なキーワード一致だけではなく、概念的な関連性を把握して検索を行うこともできる。
「フィットネストラッカー」と入力すれば、「アクティビティバンド」や「健康管理ウェアラブル」など、用語が異なる特許も検出する。
これは、同社が開発したエージェント型リサーチシステムによるもので、巨大な特許データベースをAIが自律的に解析し、重要文書を選別して提示する仕組みだ。
また、特許だけでなく、学術論文や公開ソースコードなども参照対象とし、技術分野の広範な知識を統合的に提示する。
ベータ版が既に全世界で無料公開されており、ProおよびMaxプラン利用者には追加機能や高精度モードも提供される。
知財リサーチの民主化進むも、信頼性検証が課題
「Perplexity Patents」は、特許情報のアクセス格差を縮小し、研究者やスタートアップにも専門家レベルの調査環境を提供する可能性がある。
従来の高額な専門ソフトを利用できなかった層にとって、イノベーションの初期段階で重複技術を避けるなどの利点が期待される。
一方で、AIによる自動解析は誤認識や過剰な一般化のリスクも伴う。検索結果をそのまま引用するのではなく、法的・技術的検証を人間が行う体制が不可欠となるだろう。
また、特許以外の情報源を横断的に扱うことにより、機密性やデータ精度の管理も新たな課題として浮上するかもしれない。
それでも、知的財産へのアクセスを民主化し、世界中の研究者や企業が同一水準で情報を得られる仕組みを実現した意義は大きい。
今後は、精度向上と信頼性確保の両立が焦点となりそうだ。
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