JCOM、個人向けローンで金融事業に参入 Finatextの「Crest」を採用

2025年11月6日、JCOMは加入者限定の個人向けローン「J:COMプレミアムローン」を開始した。
システム基盤にはFinatextのSaaS型クレジット基幹システム「Crest」を導入し、金融事業への本格参入を果たした。
JCOM、通信顧客基盤を活かし「J:COMプレミアムローン」提供開始
ケーブルテレビや通信サービスで知られるJCOMが、金融分野へと事業領域を拡大した。
新たに提供を開始した「J:COMプレミアムローン」は、既存の加入者を対象とした個人向け融資サービスであり、通信契約という生活インフラに金融を組み合わせる試みだ。
基盤システムとして採用されたのは、FinatextのSaaS型クレジット基幹システム「Crest(クレスト)」である。
Crestは審査・貸付・返済・顧客管理といった信用業務を一元化し、初期コストと開発期間を大幅に削減できる仕組みを備える。
また、グループ企業スマートプラスクレジットによるBPO(業務委託)サービスも併用し、非金融企業でも短期間でローン事業を立ち上げることを可能にした。
さらに、ローン提供に伴う顧客データを活用するためのDWH(データウェアハウス)も構築した。
Finatext傘下のナウキャストが開発協力し、生成AIによるデータ可視化や分析支援も進める計画だ。
これにより、JCOMは通信事業の顧客データを活かし、より精緻な信用モデルとユーザー体験を両立させる方針である。
生活インフラ企業の金融化が加速 信頼性とデータ活用の両立が鍵
通信事業者は安定した顧客基盤を持っているため、それを活かし金融に進出する動きは戦略的にもシナジーがあると評価できる。
JCOMのように、日常サービスに金融を組み込む組込型金融は、利便性と顧客囲い込みの両面で大きなメリットをもたらすだろう。
一方で、金融参入にはリスクもある。通信データを信用情報に利用する際のプライバシー保護、貸付責任の透明化、そして金融庁の監督下における法的遵守体制の整備が求められる。
特に、過剰貸付や顧客トラブルを防ぐ仕組みが整わなければ、ブランド毀損の懸念も残る。
今後は、JCOMが通信領域で培った顧客信頼をどのように金融サービスへ展開できるかが焦点となるだろう。
FinatextのCrestを軸としたクラウド型金融インフラの導入は、他業種による信用事業参入のモデルケースとなるかもしれない。











