バイナンス創業者CZ氏、暗号資産「ASTER」購入を公表 保有継続を示唆し市場が急反応

2025年11月2日、暗号資産取引所バイナンス(Binance)の創業者チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、通称CZ)氏が、分散型取引所「アスター(Aster)」のトークン「ASTER」を自己資金で購入したと公表した。自身のSNSで保有継続を示唆し、投稿直後には価格が急上昇するなど市場が敏感に反応した。
CZ氏、アスターを自己資金で購入 「保有型」と強調
バイナンス創業者のCZ氏は、自身のX(旧Twitter)で「ASTER」トークンを購入したことを公表した。
投稿には実際の取引画面のスクリーンショットが添付され、「私はトレーダーではありません。保有するタイプです」とコメント。短期的な売買ではなく、長期保有の意思を明確にした。
アスターは、無期限先物取引(パーペチュアル取引 ※1)を中心に急成長している分散型取引所(DEX)であり、DeFi分野で注目を集める新興プロジェクトだ。CZ氏は個人的にアスターのアドバイザーとして関与していることも認め、複数の元バイナンス社員がプロジェクトに参加していると明かした。
CZ氏の投稿は瞬く間に拡散され、11月6日17時時点で25,000件以上の「いいね」と8,000件超のリポストを獲得している。
コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によると、投稿直後にASTER価格は一時190円まで上昇し、その後11月4日17時時点では130円付近まで反落した。
市場は依然としてCZ氏の発言力に強く反応する構図が続いている。
アスターをめぐっては、取引データの透明性をめぐる議論も続いている。
10月にはDeFi分析プラットフォーム「ディファイラマ(DeFiLlama)」が、アスター上の「ETH/USDT」や「XRP/USDT」など主要ペア取引量がバイナンスの無期限先物取引と異常に高い相関を示していると指摘。ウォッシュトレード(自己売買 ※2)の可能性があるとして、取引データを一時的に除外する措置を取った。
アスター側はこれに対して公式声明を出していない。
※1 無期限先物取引(パーペチュアル取引):有効期限のない先物取引。価格差を清算し続ける仕組みで、高レバレッジ取引が可能。
※2 ウォッシュトレード(自己売買):同一主体が売買を繰り返し、取引量を水増しして人気を装う不正取引。
CZ発言がもたらす波紋 個人投資家心理と市場支配力の行方
CZ氏による「ASTER」購入の公表は、暗号資産市場における信頼と注目を一気に集める効果をもたらした。特に、著名な業界人物が特定トークンを自己資金で保有する姿勢を見せたことは、プロジェクトへの信頼性向上とコミュニティの活性化につながる。
CZ氏の「保有型」発言は、短期的な投機を抑え、長期的な成長志向のメッセージとして肯定的に受け取られた側面もある。
一方で、CZ氏の発言が依然として市場に過剰な影響を与える構造は、暗号資産市場の脆弱性を浮き彫りにした。個人の投稿ひとつで価格が乱高下する現状は、健全な価格形成とは言い難いとも捉えられる。
また、CZ氏がアスターのアドバイザーを務め、元バイナンス関係者が多数関与している点は、分散型取引所における中立性を損なう懸念を伴う。
今後、アスターが取引量の透明性やガバナンスをどこまで公開するかが、プロジェクトの信頼を左右するだろう。
アスターがデータの完全公開や第三者監査など、信頼を裏付ける具体的な施策を導入すれば、DeFi業界内での地位を確固たるものにできる可能性がある。
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