イオレ、SBI VCトレードと提携 法人向けサービスでビットコイン運用を開始

2025年10月31日、株式会社イオレ(東京都中央区)は、SBIホールディングス傘下のSBI VCトレード株式会社と提携し、法人向け暗号資産サービス「SBI VC for Prime」を活用したビットコインの取引・保管・運用を開始したと発表した。
自社が掲げる「Neo Crypto Bank構想」の実現に向けた具体的な第一歩となる。
イオレ、SBI VCトレードと初の事業連携を発表
イオレは2025年8月に公表した中期経営計画において、暗号資産金融事業を中核事業として位置づけている。
同社は自社保有資産を運用する「暗号資産トレジャリー」と、レンディングによる資金調達を二本柱に事業を展開しており、今回の提携はその運用体制を強化する狙いがある。
提携先のSBI VCトレードは、暗号資産交換業、第一種金融商品取引業、電子決済手段等取引業の3つのライセンスを保有する国内唯一の事業者だ。
イオレはSBI VCトレードが提供する「SBI VC for Prime」を導入し、ビットコイン取引の執行・保管・記録管理までを一元的に行う体制を整備した。
本連携では、ビットコインの取引および保管業務の最適化、制度対応・ライセンス観点での協働、「Neo Crypto Bank構想」との接続の3領域での取り組みを進める。
大口取引のスプレッド最適化やカストディ体制の強化、会計区分や内部統制との整合性確保など、上場企業としての説明責任を高める取り組みも含まれる。
さらに、SBI VCトレードが持つ制度知見を活用し、暗号資産仲介業登録やステーブルコイン活用の検討も視野に入れる。
これにより、イオレは法制度に準拠した形で暗号資産金融事業の高度化を進め、将来的な事業拡張に備える方針を示した。
「Neo Crypto Bank構想」加速へ 金融×暗号資産の融合が焦点
今回の提携は、イオレが掲げる「Neo Crypto Bank構想」を具現化する上での重要な転換点である。
SBI VCトレードの金融ライセンスと運用ノウハウを取り込むことで、同社の暗号資産トレジャリー運用は一段と安定性を増すとみられる。
メリットとしては、まずリスク管理の高度化があげられる。
SBI VCトレードのカストディ体制を活用することで、法令遵守と資産保全の両立が可能となる。
また、大口取引の執行品質向上により、取得コストを抑えつつ効率的な資産運用が実現しやすくなる点も企業価値向上に寄与する。
一方で、暗号資産価格の変動リスクや制度変更の影響など、依然として不確実性は残る。
特に金融機関と連携した運用モデルはガバナンス体制の維持が鍵になるだろう。
今後、イオレがどの程度のスピードで「取得」「保管」「運用」「決済」を循環させる仕組みを構築できるかが注目される。
暗号資産の社会での広い普及を見据えた実証段階に入ることで、企業トレジャリーの新たなモデルケースとして他社への波及効果も期待される。
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