非通信事業者がモバイル参入容易に ミーク、「MVNO as a Service」提供開始

2025年10月30日、ミーク株式会社(東京都渋谷区)の連結子会社であるミークモバイル株式会社は、非通信事業者が自社ブランドで格安SIM事業を展開できる「MVNO as a Service」の提供を開始した。
通信知識やシステム構築を要せず、最短3カ月で独自モバイルサービスの立ち上げが可能となる。
非通信事業者の格安SIM参入を支援 最短3カ月で開発可能に
ミークモバイル株式会社は、非通信事業者が自社ブランドのモバイル通信サービスを容易に構築できる「MVNO as a Service」を発表した。
親会社ミークがMVNE(※)事業で培ったノウハウを基盤とし、通信インフラ構築や法対応、顧客課金システムの整備といった高い参入障壁をワンストップで解消する。
ミークは、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIという国内3大キャリアすべてに対応した数少ないMVNEであり、これまで多数の大手MVNOにネットワーク提供や業務システム構築、運用支援を行ってきた。
こうした経験をもとに、非通信事業者でも自社ブランドでの格安SIM展開を実現できる環境を整備した。
小売やエンタメ、インフラ事業者によるモバイル展開が近年増加している。
ただし、通信サービスを独自ブランドで提供するためには、ネットワーク運用体制の構築や法令対応、課金・顧客管理システムなど、複数の技術・運用要素を満たす必要がある。
ミークモバイルは、こうした各工程を包括的に支援する形で、企業が料金プランやブランド名称を選ぶだけでモバイルサービスを開始できる体制を構築した。
導入期間は最短3カ月で、初期費用や運用負担を抑えつつ、ブランドの独自性を保った通信サービスを展開できるとしている。
※MVNE:Mobile Virtual Network Enablerの略。通信事業者とMVNO(仮想移動体通信事業者)の間で、ネットワーク運用やシステム開発を支援する事業者。
通信がブランド戦略の新軸に 多様な経済圏との連携拡大へ
ミークモバイルの「MVNO as a Service」は、通信業界の構造に変化をもたらす可能性がある。
これまで通信事業への参入には専門技術と多額の初期投資が必要だったが、同サービスにより、非通信事業者でも自社ブランドでモバイルサービスを展開できるようになる点は大きな利点だろう。
小売・エンタメ・金融といった異業種が通信を媒介に独自の顧客体験を設計できるようになり、ポイント還元やデータ連携を軸とした新たな経済圏の形成が期待される。
一方で、通信品質やサポート体制をミークモバイルに依存する構造上、利用企業の独自改善や柔軟な運営には一定の制約が生じる可能性がある。
また、参入企業の急増により、ブランド間の差別化が難しくなるリスクも否めない。
今後は、通信が「販売チャネル」ではなく「ブランド体験の中核」として位置づけられる時代へ移行していくとみられる。
通信インフラの民主化が進む中で、各企業がどのように独自の付加価値を築くかが、次の競争軸になるだろう。
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