マイクロソフト・グーグル・メタが好決算 AIが収益成長を後押し

2025年10月29日、米IT大手マイクロソフト、グーグル(持株会社アルファベット)、メタの3社が7〜9月期決算を発表した。いずれもAI(人工知能)事業が収益をけん引し、増収を記録。
3社そろって増収 生成AIがクラウドと広告を拡大
マイクロソフトの7〜9月期売上高は前年同期比18%増の約777億ドルとなり、同社の主力事業であるクラウドサービス「Azure(アジュール)」が好調だった。
グーグルの持株会社アルファベットは売上高が16%増の約1020億ドルと、初めて四半期ベースで1000億ドルを突破。AIによるクラウド事業や広告収入が大きく貢献した。
メタは26%増の約512億ドルを計上した。米政府の政策対応に伴う会計上の一時費用を計上したため純利益は減益となった。
マイクロソフトとアルファベットは純利益も前の年の同じ時期を上回った。
AI競争が生む新たな格差 成長と依存のはざまで
生成AIの普及が急速に進む中で、AIは企業成長の新たな推進力として期待を集めている。特に生産性向上や付加価値の拡大といった側面で、AIの導入効果が明確に表れ始めている。
企業は生成AIを業務効率化や顧客体験の最適化に応用し、サービスの質やスピードを高めることで収益基盤を強化している。クラウドや広告などデータ集約型の産業では、AIによる分析・ターゲティングの高度化が競争優位を生み、経営戦略の中核に位置づけられつつある。
一方で、この成長は必ずしもすべての企業に均等な恩恵をもたらすわけではない。AI開発や運用には巨額の投資が必要であり、電力やGPUといったリソースの確保が課題となっている。
特に中小企業にとっては、自前で大規模AI基盤を整備するハードルが高く、結果として資本力を持つ大手企業への依存度が高まる可能性が指摘されている。AI技術が進化するほど、投資規模や技術力の差が市場格差を拡大させる懸念もある。
また、AIが生成する情報の正確性や、著作権・倫理に関するリスクも無視できない。出力内容の偏りや誤情報、学習データの扱いなど、社会的な議論を要する問題が残されている。
企業がAIを活用する際には、単なる効率化の手段としてではなく、透明性や説明責任を伴う仕組みづくりが求められるだろう。
今後、AIは経済構造そのものに影響を及ぼす基盤技術の一つとして、各産業での存在感を高めていくとみられる。IT業界のみならず、金融、製造、医療など幅広い分野で応用が進む中で、AIをどう使いこなし、いかにリスクを抑えながら成長につなげるかが次の焦点となる。
今回のテック大手3社の決算は、AI競争が新たな局面に入りつつあることを示唆しており、企業の戦略選択が中長期的な競争力を左右する転換点となりそうだ。
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