テラデータ、AI導入の「実証どまり」を打破へ 新サービスで本番運用とROI実現を支援

2025年10月30日、米テラデータ(Teradata)の日本法人である日本テラデータは、企業の生成AI・エージェントAI投資を本番稼働へ導く新サービス「Teradata AI Services」を発表した。
スプリント方式とデータ統合基盤「Vantage」を組み合わせ、AI活用の壁である“PoCの停滞”を抜本的に解消する狙いだ。
スプリント方式で段階的展開 断片化データを統合し本番運用を支援
Teradata AI Servicesは、AI導入を検証段階から事業価値創出へ転換するための包括的支援サービスである。
実績あるコンサルタント、アジャイルなスプリント方式、そして同社の知識プラットフォーム「Teradata Vantage」を統合し、企業が短期間でAIエージェントを本番環境に展開できる体制を構築する。
MITのNANDAイニシアチブのレポートによると、企業のAI実証実験の95%が失敗しているという。
特に、リソースが目立つユースケースに偏り、高ROI領域への投資が遅れる傾向がある。
Teradataはこの構造的問題に対し、ユースケースの優先順位付けと段階的展開で応える。
今回導入したスプリント方式では、1〜4週間ごとに成果を検証し、効果が確認されたAIユースケースのみを次段階に拡張するアプローチを採る。
これにより、実証実験止まりの“PoCコレクター化”を防ぎつつ、持続的な価値創出を実現する。
また、AI成熟度に応じた三層構成(活性化・価値実現・持続運用)により、導入初期から運用フェーズまでを一貫して支援する。
このサービスは、金融のマネーロンダリング対策や医療画像解析、顧客体験最適化など幅広い領域で適用可能である。
すべてのプロセスが「信頼できるデータ」とガバナンスに基づいて設計されており、クラウド・オンプレミス双方に対応する。
ROI最大化への新たな選択肢
Teradata AI Servicesの最大の強みは、AI導入を「投資回収可能なプロセス」として構築する点にある。
ROI、自動化率、エラー削減率といったKPIを定量的に追跡し、成功例を再利用可能なデータ製品として横展開する設計が特徴だ。
これにより、短期的な成果に終わらず、時間とともに価値が複利的に蓄積される。
一方で、AI展開を支える基盤整備やデータアクセス権限の最適化など、企業側の成熟度も成果を左右する要因となる。
導入には、セキュリティとガバナンスを両立させた全社的なデータ統合が不可欠であり、この「変革への準備度」が成否を分けるだろう。
今後は、バックオフィス領域を含む高ROIユースケースでの導入拡大や、各国規制対応を踏まえたローカル運用モデルの確立が焦点となりうる。
AI投資の収益化を求める企業にとって、Teradataの提案は「戦略と実装の橋渡し」として有力な選択肢になりそうだ。
関連記事:
日本テラデータ、オンプレミス完結型AI基盤を国内発表 高セキュリティとコスト最適化に対応












