レノボとニデック、AIデータセンター向け水冷ソリューションを共同展開

2025年10月28日、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズとニデックが、AIデータセンター向けの高効率水冷ソリューションを共同プロモーションすると発表した。両社は冷却効率の向上により消費電力削減と環境負荷軽減を目指す。
レノボとニデック、高効率液冷でAIデータセンターを最適化
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズとニデックは、AIサーバーの高熱問題に対応するため、液冷方式の水冷ソリューションを共同で展開する。
従来の空冷式ではGPUの高温化に追随できない課題があり、直接液冷方式の採用で効率的に熱を除去する仕組みだ。
両社の協業では、レノボの「Lenovo Neptune」技術と、ニデックの冷却液分配装置(CDU)を組み合わせることで、冷却効率の向上と電力使用効率の改善を両立する。温水や純水の再利用により、消費電力削減と環境負荷低減が可能になる。
共同検証済みの本ソリューションは、冷却効率の向上に加え、温度管理や機器トラブルへの対応負担を軽減できることが期待される。
また、漏水などのリスクを抑える堅牢性も確保されており、高信頼性の運用が可能となる。
本ソリューションは国内市場向けの提供を皮切りに、将来的には海外展開も視野に入れている。両社は、水冷サーバーを導入するエコパートナーとの連携を強化し、日本市場での顧客開拓を進める方針だ。
ニデックの副社長執行役員である北尾宜久氏は、Lenovo NeptuneとIn Rack型CDUの組み合わせにより、「電力効率の最大化と持続可能なデータセンター運用の実現に貢献していきます」と述べている。
レノボ代表取締役社長の張磊(チョウ ライ)氏も「日本市場における水冷エコシステムの拡充を加速する第一歩となります」と期待を示した。
水冷導入による効率化とリスク、持続可能な運用の展望
水冷ソリューションの導入は、データセンターの運用効率を大幅に向上させる可能性がある。冷却効率が高まることで、電力消費を抑えつつ、機器寿命の延長や運用コスト削減が期待できる。
将来的には、水冷サーバーの普及によりデータセンター全体の電力効率改善が進む可能性がある。電力削減によるコスト低減と環境配慮の両立が実現すれば、企業のESG戦略にも資する取り組みとなるだろう。
一方で、液冷導入には初期コストや設置工事の複雑さ、漏水リスクの管理といった課題も存在する。特に大規模データセンターでは、冷却配管の設計や運用体制の整備が不可欠であり、導入企業には高度な技術力と運用ノウハウが求められるとみられる。
国内での成功を踏まえた海外展開では、地域ごとの電力事情や環境規制への適応が鍵となるだろう。適切な運用設計と技術提供が整えば、グローバルなAIデータセンター市場で競争力を高める戦略的価値を生むと考えられる。
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