アドビ、Fireflyに楽曲生成と動画編集を追加 AIアシスタントで創作工程を一元化

2025年10月28日、米アドビ(Adobe)は生成AIツール「Adobe Firefly」の大規模アップデートを発表した。
画像・音声・動画の生成機能を拡充したほか、創作支援AIアシスタント「Project Moonlight」も導入し、クリエイティブ作業の一元化を進める動きが加速している。
高精細画像と楽曲生成に対応、AIが映像制作を補完
アドビは28日、生成AIツール群「Adobe Firefly」の機能拡張を正式発表した。
中心となるのは、新たにプレビュー公開された画像生成モデル「Firefly Image Model 5」である。より高画質な画像が生成できるモデルだ。
あわせて「画像を編集(ベータ版)」を追加し、ユーザーがアップロードした画像をテキスト指示で部分修正できるようになった。
音響分野では、効果音生成に続き、最大5分の商用利用可能な楽曲を生成する「サウンドトラックを生成(ベータ版)」を追加。ジャンルや雰囲気を選ぶだけでBGMを自動作成できる。
「音声を生成(ベータ版)」では、20カ国語対応の音声合成が実現し、台詞入力により抑揚や速度を調整した自然な読み上げを生成できる。
さらに「動画を編集(プライベートベータ版)」では、Firefly生成の映像クリップをタイムライン上で編集可能にした。
フレーム単位でAIが補完映像を生成することで、ストーリーボード制作やビデオコンテ用途に適しているとする。
このほか、ElevenLabsやGoogle、Topaz Labs、Luma AI、OpenAI、Runwayなどの外部AIモデルとも連携することで、ユーザーの作風に合わせて学習する「Fireflyカスタムモデル(プライベートベータ版)」も公開された。
さらに、複数のアドビ製アプリを横断して動作する対話型AIアシスタント「Project Moonlight」も発表され、数分でアイデア構築から素材生成までを完結できる環境を整備した。
制作プロセスの自動化が進展 創造性との共存が次の焦点に
今回のアップデートは、クリエイターの制作工程をAIが支援・最適化する方向性を一段と明確にしたと言える。
編集や生成の統合により、これまでアプリ間を移動して行っていた作業をFirefly上で完結できるようになり、効率性の飛躍的向上が期待できる。
特に「Project Moonlight」によるマルチアプリ連携は、アイデア構築からアウトプットまでの一貫した制作を可能にする。
一方で、生成精度や倫理面の課題も残る。AIによる音声・映像生成の汎用化が進めば、著作権管理やフェイクコンテンツへの懸念も高まる可能性がある。
生成AIが制作現場の標準ツールとなるなか、人間の創意を補完しながら生産性を最大化する「協働型クリエイティブ環境」の確立が次の焦点となるだろう。
Fireflyの進化は、単なるツール更新ではなく、制作の定義そのものを問い直す転換点となりつつある。
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