OpenAI、営利子会社をPBCへ法人格転換 評価額76兆円でスタートアップ最大級

2025年10月28日、米OpenAIは営利子会社を「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」に転換したと発表した。
企業評価額は5000億ドル(約76兆円)に達し、世界最大規模のスタートアップとなった。
OpenAI、営利と公益を両立する新体制に移行
ChatGPTの開発元である米OpenAIは、営利子会社をPBC(Public Benefit Corporation)に転換し、営利と社会的使命の両立を図る新たな枠組みを整えた。
PBCとは、 米国で法的に認められた企業形態の一つで、取締役が社会的責任を優先できる法的枠組みを持っている。
PBCは米国で30州以上に法制度があり、企業が利益を追求する一方で公益的目的を定款に明記することを義務づける。
今回の法人格変更により、OpenAIはAI研究の安全性や倫理性を担保しつつ、より柔軟な資金調達が可能になるとみられる。
OpenAIは従来、非営利団体が営利子会社を監督する複層的な経営構造を採用していた。
今回の転換では、非営利団体を「OpenAI財団」、営利子会社を「OpenAIグループPBC」と改称し、体制を再編。
株主構成は財団が26%、マイクロソフトが27%、残り47%を外部投資家が保有する。非営利母体が依然として監督権を保持し、安全で責任あるAI開発を推進するとしている。
評価額5000億ドルという規模は、スタートアップとしては世界最大である。
OpenAIの急成長は生成AI市場の拡大とともに続いており、同社が次のAI産業の標準を主導する存在になる可能性がある。
資金調達と社会的責任の両立、AI産業の試金石に
PBC化は、AI企業にとって倫理的・法的責任を明確にしながら、資本市場との距離を最適化する試みといえる。
これにより、株主利益に偏りがちな従来の営利構造から脱し、長期的な公共利益のための研究開発が促進される可能性がある。
一方で、AI分野では投資規模が拡大するほど、商業化のプレッシャーも強まるだろう。
特にOpenAIは、Microsoftとの提携による巨額の投資を受けつつ、自社の理念である「人類全体に利益をもたらすAI」の実現を掲げているため、そのバランスが注目される。
今後、AI企業が倫理と資本主義の間でどのようなガバナンスモデルを築けるかが、業界全体の持続性を左右するだろう。
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