Liquid、公的個人認証でJPYC発行を支援 マイナンバーカード活用で厳格な本人確認を実現

2025年10月27日、ELEMENTSグループの株式会社Liquid(東京都中央区)は、JPYC株式会社が提供する日本円建てステーブルコイン「JPYC」の発行・償還サービス「JPYC EX」において、公的個人認証(JPKI)を活用した本人確認機能を提供すると発表した。
マイナンバーカードのICチップを用い、オンライン本人確認を強化する。
JPYC EXに公的個人認証を導入 マイナンバーカードで本人確認を効率化
Liquidは、オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」の「ICおまかせパック」を通じ、JPYCの発行・償還サービス「JPYC EX」に公的個人認証(JPKI)機能を提供する。
ユーザーは、マイナンバーカードのICチップをスマートフォンで読み取ることで、アカウント登録や取引時確認をオンラインで完結できるようになる。
JPYC EXは、日本円建てステーブルコイン「JPYC」(1JPYC=1円)をブロックチェーン上で発行・償還する公式プラットフォームである。
登録ユーザーは、JPYC EX上から発行予約を行い、銀行振込で日本円を入金することで、登録ウォレットアドレスにJPYCを発行できる。
また、償還予約を行い、指定アドレスへJPYCを送付することで、日本円による払い戻しを受けることも可能である。
「LIQUID eKYC」は、AI・生体認証・OCR技術を組み合わせた本人確認システムであり、国内eKYC市場で6年連続シェア1位を維持している。
導入実績は約600社、累計本人確認件数は約1.3億件に達する。
今回、JPYC EXがマイナンバーカードを活用した本人確認に対応したことにより、2027年に予定されている犯罪収益移転防止法改正にも適合する体制が整えられた。
金融とWeb3の信頼基盤を強化 公的個人認証導入がもたらす波及効果
今回の導入は、ステーブルコインの取引における信頼性と透明性を高める重要な一歩といえる。
マイナンバーカードを活用したJPKI認証は、従来の書類提出や画像照合に比べ、なりすましや不正利用のリスクを大幅に低減できる利点がある。
また、JPYCの普及が進められる中、公的認証による本人確認が標準化されれば、行政・金融・Web3サービス間の信頼インフラが共通化される可能性もある。
法改正を見据えて早期に対応を行っている点も、金融機関や暗号資産関連企業にとって先進的な取り組みと評価できる。
一方で、ユーザーの端末環境やカード読取精度など、実運用上の課題も残るだろう。
今後、利便性を維持しつつ高いセキュリティを確保するには、利用者教育やシステム安定化の取り組みが鍵になると考えられる。
今回の連携が、デジタル資産領域における本人確認の新たなモデルケースとなり、今後は他のステーブルコイン事業やWeb3決済にも波及するかもしれない。
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