KDDIとGoogle Cloud、生成AIで「責任あるAI」実装へ 2026年春に開始

2025年10月27日、KDDIはグーグル・クラウド・ジャパンと戦略的協業契約を締結した。
Googleの生成AI「Gemini」などを活用し、権利保護と高信頼情報提供を両立するAIサービスを2026年春に開始する。
KDDI、Googleの生成AIを活用し「責任あるAI」へ
KDDI株式会社は、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社とAI領域での戦略的提携を発表した。
提携の目的は、生成AIを活用しつつ、著作権や情報信頼性の課題を解決する「責任あるAI」の推進にある。
新サービスでは、Googleの大規模言語モデル「Gemini」やAIノートツール「NotebookLM」などが採用される。
AIが参照するデータは、コンテンツプロバイダーから正式に許諾を得たものに限定されるため、無断利用を防ぐと同時に、信頼性の高い情報を取得できるという。
AIが誤情報や不正利用を助長するリスクが懸念される中、KDDIは無断利用を防ぐ体制を整えることで、国内通信大手として責任ある技術活用を目指すとしている。
今回の協業には、NewsPicks Selectやナタリー、価格.com、LDK、マンションノート、mamariなど複数の国内メディアが参画を予定しており、正式サービス開始に向け提携先の拡大も進めている。
「安心してAIを使う社会」へ 情報産業の信頼回復を目指す
生成AIが普及する一方で、インターネット上の著作物の無断学習や誤情報拡散が社会問題化している。
特にニュースやクリエイティブ業界では、AIが作成したコンテンツが一次情報源の価値を損なう懸念がある。
KDDIの新サービスは、こうした課題に対する一つの解として注目できる。
また、AIが正式な許諾を得た情報のみを扱う点は、従来の検索型AIとの差別化にもつながるだろう。
信頼性の高い情報源を優先的に提示する仕組みは、個人の情報探索や企業の意思決定支援にも有用であり、生成AIの倫理的利用モデルとして他社への波及も予想される。
一方で、許諾データのみを用いる構造は、情報の網羅性やAIの学習範囲を制約する可能性がある。
AI開発のスピードと権利保護のバランスをどう取るかが今後の課題となるだろう。
KDDIは今後も、Google Cloudとの連携を強化し、法人・個人向けのAI応用サービスを拡充させる方針だ。
責任あるAIの潮流が国内外で広がる中、日本企業がどのように倫理と利便性を両立させるかが問われる段階に来ていると言える。











