大和自動車交通、ソニーのMR技術で「タイムトリップタクシー」本格展開 江戸文化を体験できる移動空間に

2025年10月27日、大和自動車交通株式会社(東京都江東区)は、ソニーグループ株式会社の複合現実(MR)技術を活用した体験型サービス「MRクルーズ」の本格運行を発表した。
11月7日から「タイムトリップタクシー」として、江戸の町並みや職人文化をテーマにしたMR体験を提供する。
MR技術で江戸の街を再現 「タイムトリップタクシー」始動
大和自動車交通は、ソニーグループおよびクラブツーリズムと連携し、複合現実(MR)技術(※)を用いた新サービス「タイムトリップタクシー」を11月7日から12月1日までの計17日間運行する。
2024年に実施した第一弾が高評価を得たことを受け、今回は乗車台数と運行期間が拡大された。江戸時代の風景と現代の街並みを融合させた没入型観光が実現される。
車内には4K対応の大型モニターが備えられており、現実の車窓に重ねてCG映像や音声が再生される仕組みだ。
字幕は多言語に対応し、訪日観光客にも利用しやすい設計となっている。
タクシーによる短距離移動プラン(東京駅〜雷門)に加え、日本橋や浅草での体験ツアーも提供され、実際の職人技を体感できる仕掛けも盛り込まれているという。
運行車両は特別仕様のアルファード2台で、1台あたり最大5名が乗車可能である。
運行には台東区と中央区が後援として協力する。
大和自動車交通は本サービスを「移動そのものを価値ある体験に変える」新たな試みと位置づけている。
※複合現実(MR)技術:現実空間に3DCGなどの仮想情報を重ね合わせ、現実と仮想を融合させた体験を可能にする技術。
観光とテクノロジー融合の新潮流 地域振興とインバウンド拡大へ
MR技術を取り入れた「タイムトリップタクシー」は、移動手段としてのタクシーを観光体験の舞台へと変える革新的な取り組みである。
従来の観光バスやガイドツアーでは味わえない「動きながら没入する体験」は、インバウンド需要の拡大に向けた新たな観光価値を創出すると考えられる。
特に東京の中心部を舞台にした江戸文化テーマは、歴史とテクノロジーの融合という面でも注目度が高くなるだろう。
一方で、体験型タクシーという性質上、乗車人数や運行台数に制限がある点は課題として残りそうだ。
需要の高まりに伴うスケール拡張のため、運行コストや機材整備などの調整が求められるかもしれない。
それでも、本サービスは都市交通の新たな可能性を示す試金石となるだろう。
今後は、観光産業の枠を越え、教育、地域振興、企業イベントなどへの展開もあり得る。
テクノロジーを介して「移動の体験化」を進める流れは、今後のモビリティ市場における重要な潮流となりそうだ。
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