トランプ大統領、バイナンス創業者に恩赦 仮想通貨支持を鮮明化

2025年10月23日、米国のトランプ大統領は、資金洗浄防止法違反で有罪判決を受けた暗号資産取引所バイナンス創業者の趙長鵬(チャンポン・ジャオ)氏に恩赦を与えた。
バイデン政権下での「仮想通貨への圧力」に対する明確な対抗姿勢とみられ、トランプ氏の暗号資産推進路線が一段と鮮明になった。
トランプ大統領、趙長鵬氏を恩赦 バイナンス創業者が米国市場復帰か
ホワイトハウスのレビット報道官は23日、トランプ氏が「憲法上の権限を行使し、バイデン政権の仮想通貨との戦いで訴追されたジャオ氏に恩赦を与えた」と発表した。
趙氏は暗号資産取引所バイナンスの創業者であり、米司法省によるマネーロンダリング(※)防止法違反で有罪判決を受け、昨年4カ月間服役していた。
今回の恩赦により、趙氏は法的制約から解放され、米国での活動再開が可能となる。
トランプ氏は政権復帰後、仮想通貨産業の振興を掲げており、3月にも暗号資産取引所ビットメックスの共同創業者3人に恩赦を与えている。
一方で、トランプ氏の一族が複数の暗号資産関連企業から資金を得ていると報じられているが、ホワイトハウスはこうした主張を否定しており「全ての恩赦を慎重に検討している」と強調した。
趙氏はSNS「X」で「今日の恩赦と、公正、革新、正義に対する米国のコミットメントを支持するトランプ大統領に深く感謝する。米国を暗号資産の中心地にするために全力を尽くす」とコメントしている。
また、バイナンスの広報担当者もトランプ氏のリーダーシップに感謝の意を表した。
※マネーロンダリング(資金洗浄):犯罪収益などの不正資金を、複数の取引や送金を経由させて合法的な資金に見せかける行為。国際的な金融犯罪防止の観点から、各国で厳しく規制されている。
恩赦がもたらす政策的転換点 仮想通貨産業の成長とリスクの両面
今回の恩赦は、トランプ政権が仮想通貨産業を国家戦略の一環として位置づける姿勢を示したものだと考えられる。
仮想通貨産業を国家戦略にするメリットとしては、産業振興による投資拡大や雇用創出があげられる。
規制緩和により、米国内のブロックチェーン関連企業やスタートアップの参入障壁が低下すれば、グローバルな資金流入が活発化する可能性もある。
一方で、デメリットも存在する。規制緩和が過度に進めば、マネーロンダリングや不正送金などのリスクが増大し、金融システムの透明性を損なう懸念がある。
また、政権の倫理的信頼性をめぐる議論は今後も続くとみられる。
将来の展望としては、トランプ政権が「デジタルドル構想」に対抗する形で、民間主導の暗号資産経済圏を拡大する可能性が高い。
もしバイナンスが米国市場で再び影響力を取り戻せば、世界の仮想通貨勢力図にも変化を及ぼすだろう。
今回の恩赦は単なる個人救済ではなく、米国の金融政策と国際的競争戦略を左右する布石となるかもしれない。
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