KDDI、ロンドンにAI対応データセンター「Telehouse West 2」建設へ 総工費600億円で2027年度開業

2025年10月22日、KDDIは、欧州現地法人であるTelehouseヨーロッパが英国ロンドン市内において次世代データセンター「Telehouse West 2」の建設を開始したと発表した。
総工費約600億円で2027年度の開業を予定し、AI需要の拡大に伴う高電力サーバー対応と環境配慮型設計を両立する拠点となる。
KDDIがロンドンに6棟めのデータセンターを建設
KDDIの欧州法人Telehouseヨーロッパは、ロンドン東部のドックランズ地区において「Telehouse West 2」の建設に着手した。
TelehouseはKDDIが世界10カ国以上でグローバルに展開するデータセンターだ。
特にロンドンを中心拠点としており、1990年の「Telehouse North」の開業をはじめとして、これまで5棟のデータセンターを建設してきた。
Telehouse West 2はロンドン市内で6棟目となるデータセンターであり、総工費約600億円、IT電力容量22.4MWとTelehouseブランドで最大規模の施設となる。
高発熱のGPUサーバーを安定稼働させるために、水冷と空冷を組み合わせたハイブリッド冷却方式を採用した。
さらに、再生可能エネルギー由来の電力を100%利用することで、環境負荷の少ないAI時代のインフラ構築を目指す。
Telehouse West 2はロンドン金融街から約6kmの立地に建設される予定で、低遅延通信を実現する世界有数の接続性を持つ。
Telehouseの既存5棟とあわせ、ロンドン ドックランズ・キャンパス全体の電力容量は57.1MWに拡大する。
Telehouse West 2は特に高まっている生成AIニーズに求められる高性能な通信基盤を支える。
KDDIはこのプロジェクトを通じて、AI時代における新たな事業基盤「WAKONX(ワコンクロス)」の一環として、データ活用と社会課題解決を両立するインフラ整備を進めるとしている。
欧州AI市場で競争力強化へ
KDDIの狙いは、生成AIやクラウド計算の急成長が続く欧州市場において、持続可能なデータセンター事業を軸に存在感を高めることにあるとみられる。
ロンドンのデータセンター市場は今後5年間で年平均21%の成長が予測され、低遅延通信を実現する拠点整備は喫緊の課題とされる。
再エネ100%で稼働する本施設は、サステナビリティを重視する潮流とも整合し、企業の脱炭素経営を後押しする点で優位性を持つ。
一方で、AIサーバー対応に伴う高コストや電力消費量の増大は避けられず、経済性と持続性の両立が今後の焦点となるだろう。
とくに欧州では環境基準の厳格化が進む中、再エネ調達コストや冷却効率の改善が課題として残ると考えられる。
KDDIは世界45拠点で展開するTelehouseネットワークを背景に、国際的な相互接続性を強みにAI時代の中核インフラを担う構えだ。
今回のロンドン拠点は、KDDIがグローバルDX支援企業として次の成長段階に踏み出す象徴的なプロジェクトと言える。
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