消費者庁、英会話「NOVA」に措置命令 入会金「無料」表示で有利誤認認定

2025年10月17日、消費者庁は英会話教室「NOVA」を運営する株式会社NOVAランゲージカンパニーに対し、景品表示法違反(有利誤認)を理由に措置命令を出したと発表した。
入会金を「0円」と表示していたが、通常価格として示した金額に支払わせた実績がなかったことが判明した。
「入会金0円」表示に実態なし 景表法違反で措置命令
消費者庁は、NOVAランゲージカンパニーが自社ウェブサイト「NOVA駅前留学。」で行っていた入会キャンペーン表示について、景品表示法(※)第5条第2号に違反すると判断した。
対象となったのは「おためし留学」および「NOVAバイリンガルKIDS」などのコースで、同社はそれぞれ「入会金 一般 20,000円(税込22,000円)▶0円」「入会金 KIDS 10,000円(税込11,000円)▶0円」と掲載していた。
しかし、消費者庁の調査によると、これらの通常入会金額は「最近相当期間にわたり支払い実績が存在しない」ものであり、実際には通常価格と呼べる根拠がなかった。
結果として、あたかも通常より有利な条件で入会できるかのように誤認させたと認定された。
同庁は同社に対し、表示が誤認を招くものであったことを一般消費者に周知徹底するよう命じた。
景表法に基づく措置命令は行政指導の一環であり、再発防止策や改善公表が求められる。
NOVAは1981年設立の老舗語学スクールで、全国展開する大手の一角を占める。
※景品表示法(※):正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。消費者の自主的かつ合理的な選択を妨げるおそれのある表示(有利誤認、優良誤認など)を禁止する法律。違反が認められた場合、事業者に対して措置命令が出される。
教育業界に波紋 表示の透明性と信頼回復が課題に
今回の措置命令は、教育・語学業界における広告表示のあり方を問い直す事例となった。
特に「入会金無料」「今だけ割引」といった価格訴求型のキャンペーンは広く行われており、通常価格の根拠や継続性が法的観点から再検証される可能性があるだろう。
表示の根拠となる「通常価格」は、実際に支払い実績が継続して存在することが前提である。
虚偽または実態のない「定価」を用いた割引表示は、消費者を誤導する行為として法的リスクが高い。
今回のケースは、景表法違反が「割引マーケティング」の運用上どこまで許容されるかを再考させるものとなった。
一方で、企業側には透明性を高める努力が求められる。
キャンペーン内容の条件を明確化し、過去価格や適用期間を具体的に示すことが、信頼回復の鍵になると考えられる。
英会話市場はAI学習やオンライン化が進むなか、ブランドへの信用こそが競争力の源泉であり、今回の行政判断はその重要性を浮き彫りにした。
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