東京工科大、米フロリダ大とAI分野で包括連携 国際共同研究と人材育成を推進

2025年10月17日、東京工科大学は米フロリダ大学とAI分野における国際的な学術連携に関する協定の覚書(MOU)を8月27日に締結したと発表した。デジタルツインなどの先端研究や人材交流を通じ、国際的なAI教育・研究拠点の形成を目指す。
AI・デジタルツインで国際連携強化 東京工科大とフロリダ大が協定締結
東京工科大学(東京都八王子市、学長:香川豊)は、米フロリダ大学(フロリダ州ゲインズビル)とAI分野での国際的な学術連携を目的とした協定を8月27日に締結した。
両校はAIおよびその応用領域における共同研究、教員・学生の相互交流、教育カリキュラムの共有、国際ワークショップの開催などを包括的に進める。
協定には、東京工科大学の「AIテクノロジーセンター」と「デジタルツインセンター」、フロリダ大学の「Artificial Intelligence Academic Initiative Center(AI2センター)」が連携機関として参加する。
締結式はフロリダ大学で行われ、東京工科大から生野壮一郎デジタルツインセンター長や関根謙一郎実践研究連携センター長らが出席。今後の共同研究や教育プログラムの展開について議論が交わされた。
東京工科大は「AI大学」構想のもと、米NVIDIA(エヌビディア)との学術交流をはじめとする産学連携を拡大しており、今秋には国内私立大最大規模となるAIスーパーコンピューター「NVIDIA DGX™ B200」を本格稼働させる予定だ。今回の協定は、研究基盤と国際ネットワークの両面で同大学のAI教育・研究を飛躍させる契機となる。
AI人材育成の国際競争が加速 共同研究の深化が次の成長段階に
今回の協定は、AI時代の人材育成をめぐる国際競争の流れの中で、日本の大学が存在感を示す契機となる可能性がある。AIとデジタルツインを軸にした共同研究は、スマートシティや医療、製造分野など、社会実装が進みつつある領域でも応用の余地が広いと考えられる。
理論研究だけでなく、実践的なプロジェクトを通じて次世代の専門人材を育成できる点は、両大学にとって重要な取り組みといえる。
一方で、国際共同研究にはデータ管理や研究倫理、知的財産権の整理といった課題も存在する。AI技術がもたらす社会的影響が拡大する中、透明性や信頼性を確保する枠組みの整備が求められるだろう。また、教育面でも、両大学が共有するカリキュラムの適用範囲や評価手法の調整が課題となる可能性がある。
それでも、こうした国際連携はAI教育の質向上に寄与し、国内大学がグローバルな研究ネットワークにより深く関与する動きを促すと考えられる。
東京工科大学が構築する協力体制は、AI研究における「知の共創」の新たな展開例として注目を集めつつある。
※デジタルツイン:現実世界の空間・設備・人の動きを仮想空間上に再現し、シミュレーションや最適化に活用する技術。製造業や都市開発などで応用が進む。
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