サイバーエージェント、生成AIでAI動画広告制作を革新 新センター設立

2025年10月20日、株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区)は、生成AIを活用した動画広告の制作効率化と価格革命を目的に、新組織「日本一のAI動画を追求するセンター」を設立したと発表した。
低価格・短納期・高品質の三拍子を揃えた新モデルを打ち出し、広告動画市場の構造変革を狙う。
生成AIで低価格・短納期・高品質を実現 「ブランド300万動画」を提供
サイバーエージェントは、生成AIを全面活用した新たな動画制作モデルを導入し、広告業界のコスト構造に変革をもたらす方針を示した。
新設した「日本一のAI動画を追求するセンター」では、従来1本数千万円規模が主流だったブランド動画の制作費を、3本で300万円に抑えるパッケージ「ブランド300万動画」を提供する。
制作期間も業界平均の約3か月から1.5〜2週間へと大幅に短縮される。
背景には、動画広告市場の拡大とともに顕在化した「高コスト」「長納期」といった課題がある。
同社は生成AIによる制作プロセスの最適化と、企画から納品までの一元管理により、効率性と表現力の両立を図る。
特に、AIクリエイターとブランド動画専門チームの協業体制を整備し、各動画を異なる企画で構成することで、多様な訴求力を実現する。
また、同センターは自社開発システム「極多様性プロット」と連携し、配信中のクリエイティブ傾向を可視化する。
表現の偏りをスコア化して新しい訴求表現を発掘することで、より広範なユーザー層へのリーチが可能になる。
まずはYouTube向けの広告制作から展開を開始し、今後は他媒体にも順次拡大する予定だ。
AIが変える広告制作の未来 コスト革命がもたらす波及効果
今回の取り組みは、AIを単なる効率化ツールではなく、クリエイティブ戦略の中核として位置づけた点に特徴がある。
生成AIの導入により、広告主は予算や時間の制約を抑えながら、ブランド価値に直結する表現を迅速に検証できるようになる。
短期間で複数パターンの動画を制作し、即座に効果測定を行う高速PDCAが実現すれば、広告運用の在り方そのものが変わる可能性が高い。
一方で、AI生成による著作権や表現の独自性といった課題も残る。
クリエイティブの質を維持しながら効率化を追求するには、AIと人の協働による制作プロセスの最適化が鍵となるだろう。
業界ではすでにAI動画制作の導入が進みつつあるが、サイバーエージェントのように低価格・短納期・高品質を三立させる仕組みを体系化した事例は珍しい。
今後、このモデルが広告制作の新たなスタンダードとなるかが注目される。
関連記事:
電通デジタル、Luma AI「Ray3」で動画広告制作を1時間に短縮 生成AIでインプレ2500%の効果向上












