観測衛星「いぶきGW」が定常運用へ 温室効果ガスと水循環を高精度に観測

2025年10月20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW(GOSAT-GW)」が初期機能確認運用を終え、定常運用段階へ移行したと発表した。
地球規模の温室効果ガスと水循環の動態を、従来よりも高精度に観測する体制が整った。
「いぶきGW」、観測体制を本格始動 地球環境モニタリングを強化
「いぶきGW」は、日本が主導する地球観測衛星シリーズの最新機であり、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)および「いぶき2号」(GOSAT-2)に続く後継機である。
今回の定常運用移行は、衛星全体および搭載機器「AMSR3(高性能マイクロ波放射計)」と「TANSO-3(温室効果ガス観測センサ)」の機能確認を完了したことを意味する。
これにより、地球大気中の二酸化炭素やメタンなどの濃度変化に加え、水蒸気や降水量、土壌水分などの水循環データを同時に観測することが可能になった。
JAXAは今後、観測データの初期校正・検証を行い、精度を確認したうえで観測データの提供を開始する予定だ。
これにより、気候変動予測や災害対策、農業・水資源管理への応用が期待される。
国際連携と社会実装が鍵 観測データの活用拡大へ
「いぶきGW」の観測成果は、国際的な気候変動対策や環境政策にとっても重要な基盤となりうる。
特に、各国の温室効果ガス削減目標の達成度を客観的に検証できるため、環境保護における国際協調にも役立つデータを提供できるだろう。
一方で、衛星データの処理には高度な解析技術と継続的な校正作業が求められる。観測精度の維持や地上観測との整合性確保には、多国間の研究連携とオープンデータ化の推進が欠かせないだろう。
「いぶきGW」のデータを産業・行政・教育など多領域に統合活用する動きが広がることで、日本発の環境テクノロジーとして世界に貢献することが期待される。











