Google DeepMind、AIで核融合開発を加速 CFSと提携強化し商業化を推進

2025年10月16日、米Google DeepMindは、核融合エネルギー開発企業Commonwealth Fusion Systems(CFS)との提携を強化すると発表した。
AIを活用し、トカマク式核融合炉の制御最適化や商業化実現を加速する狙いだ。
AIによるトカマク制御を共同研究 CFSの実証炉「SPARC」で適用へ
Googleは、AI技術を核融合エネルギー開発に導入するため、米CFSとの研究連携を深めた。
CFSはトカマク式(※)核融合装置「SPARC」を開発しており、地上で太陽と同様の核融合反応を再現することを目指している。
核融合では、1億度を超えるプラズマを安定的に維持する必要があるが、その制御は極めて難易度が高い。
Google DeepMindは2022年、ディープラーニングによってトカマク内の磁場を動的に制御し、複雑なプラズマ形状を安定化させる技術を発表していた。
今回の提携では、この成果をCFSのSPARC運用に適用することで、効率的な運転制御を実現する計画だ。
CFSは8月、三井物産や三菱商事など日本企業が参加するコンソーシアムから8億6,300万ドルの出資を受けており、開発体制を強化している。
また、Googleは6月、CFSと世界初となる核融合発電による電力購入契約(PPA)を締結済みだ。
今回の提携強化により、AIによる核融合制御と商用炉開発の両面で協業を進める。
※トカマク式:磁場でプラズマをドーナツ状に閉じ込めて核融合反応を維持する装置構造。1950年代にソ連で開発され、現在の主流方式となっている。
AIが核融合のカギに 制御自動化で商業化を早期化へ
AIによる核融合炉制御は、膨大な操作パラメータを最適化する手段として注目される。
燃料注入や磁場制御、加熱出力などの設定は数万通り以上に及び、従来の手動調整では限界があった。
DeepMindの強化学習モデルは、プラズマ挙動をリアルタイムで解析し、最適な制御パターンを自動的に導出できる。
特にSPARCでは、運転時に発生する熱の制御が課題とされる。
AIが学習を通じて放熱制御を最適化すれば、炉内ブランケットの損傷リスクを抑え、長時間運転を可能にする。
これにより、核融合発電の安定化と商業化の実現時期を早める可能性がある。
GoogleはCFSとの連携を通じ、AIを核融合システムの中核に据えた新たな制御アーキテクチャを構築中であり、クリーンエネルギー時代の到来を加速する技術基盤になると期待される。
関連記事:
AIプロンプトの電力消費を公表 Google「Gemini」が示す環境負荷の実像












