ZOZO、AIで「似合う」を科学する WEARに着回し提案機能を追加

2025年10月15日、株式会社ZOZOが運営するファッションアプリ「WEAR」に、生成AIを活用した新機能「着回し提案」が追加された。ユーザーの好みや体型の悩みに合わせたパーソナライズ提案が可能になり、AIによるスタイリング体験がさらに進化した。
ZOZO、生成AIで個人最適のコーデ提案を実現
ZOZOが展開する「WEAR」は、登録数1,400万件を超えるコーディネート画像をもとに、AIがユーザーの嗜好や体型情報を分析して最適な着回しを提案する新機能を導入した。
ユーザーは特定のアイテムを選択するだけで、AIがその人の好みに沿ったコーディネートを画像とテキストで提示する仕組みだ。
特徴的なのは、「体型の悩み」を登録すると、AIがその悩みを補う着こなしを提示する点である。二の腕や脚、身長など、リアルな体型課題に寄り添いながら、具体的なスタイリングポイントを文章で解説してくれる。
これは、リアル店舗「niaulab by ZOZO(似合うラボ)」で蓄積されたデータをAIに反映させた成果だ。
似合うラボでは、AIとスタイリストによる超パーソナルスタイリングを通じ、「似合う」を構成する要素を4分類に整理してきた。
「ジャンル」「味付け」「与えたい印象」「体型の悩み」という視点で得たデータをAIに学習させ、WEAR上の提案アルゴリズムに転用している。これにより、ユーザーは自分の個性に合わせた「似合う」を可視化しやすくなった。
ZOZOは、ZOZOTOWN、WEAR、似合うラボで得た膨大なデータを活用し、ファッションに特化した対話型AIエージェントの開発も推進している。
同社は、今後もより多くのユーザーに新しいファッション体験を提供することで、「ファッションを『買う』ならZOZO」から「ファッションの『こと』ならZOZO」へと進化し続ける方針を示している。
AIが「似合う」をパーソナル化 ZOZOが築く新ファッション経済圏
ZOZOの新機能「着回し提案」は、生成AIによってファッションの個別最適化を推し進める試みである。
リアル店舗「似合うラボ」で得られた実証データをAIに学習させることで、抽象的な「似合う」を定量的に可視化できるようになった意義は大きいだろう。ユーザーは感覚的な選択から脱し、自身のスタイルを科学的に理解できる可能性が高まったと考えられる。
一方で、AI提案によるスタイリングには“均質化”という課題が残る。
AIのアルゴリズムがデータに基づく以上、既存の傾向を補強する方向に偏る可能性は否めない。
また、体型や好みに基づく高度な個人データを扱うため、プライバシー保護の観点からも慎重な設計が求められそうだ。
今後、ZOZOが構築する「ファッションAIエコシステム」は、購買体験の再定義を進めるとみられる。WEAR上の提案機能が成熟すれば、AIがユーザーの生活文脈や季節、シーンに応じた提案を行う“デジタルスタイリスト”として機能するだろう。
人間の多様な価値観を学んだAIが、ユーザーが「自分らしさ」を再発見するためのパートナーとなり得るのか、引き続き注目したい。
関連記事:
エアークローゼット、生成AIによる「AIスタイリストアシスタント」を導入 初回コーディネートの自動対話化を実現












