メタ、テキサス州にギガワット級AIデータセンター建設へ 15億ドル+投資で次世代AI競争に布石

2025年10月15日、米メタ・プラットフォームズは人工知能(AI)開発強化を目的に、テキサス州エルパソにギガワット級の新データセンターを建設すると発表した。総投資額は15億ドル+。
メタ、1ギガワット級AIデータセンターで開発体制を拡充
メタによる今回の投資は、AI競争で優位を確保するための長期戦略の一環である。同社は公式ブログで、テキサス州エルパソに新設するデータセンターに15億ドル以上を投じると明らかにした。
同施設では、AI向け高性能半導体(※)を大規模に稼働させる計画である。メタは今年、ルイジアナ州に別の大型データセンターの建設も発表しており、米国内でAIインフラの整備を加速している。これらの取り組みは、GoogleやOpenAIなど主要プレーヤーが拠点を拡充する流れと歩調を合わせたものだ。
資金面では、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やブルー・アウル・キャピタルから計290億ドルを調達済み。さらにオハイオ州の施設など複数のギガワット級計画も進行中である。メタは2025年の設備投資を最大720億ドルと見込み、その大半をAI関連インフラに充てる方針を示している。
※高性能半導体:生成AIや大規模言語モデル(LLM)の学習に用いられるGPU(グラフィックス処理装置)や専用チップ。膨大な演算を支える基盤であり、AI開発競争の要となっている。
AI投資がもたらす成長と課題 電力負荷と環境対応の両立を探る
メタの巨額投資は、AI産業での競争優位を維持するための重要な布石とみられる。
AIモデルの開発には膨大な計算資源が必要であり、自社インフラの拡充は長期的な競争力確保に寄与する可能性がある。
特に、パーソナルAIアシスタントや生成AIを活用した広告最適化といった主要サービスでは、処理能力の向上が事業成長に結び付くことが期待される。
一方で、ギガワット級施設の建設にはリスクも内包する。
稼働時の電力消費は極めて大きく、エネルギー需給や環境負荷の増大が懸念される。
再生可能エネルギーの確保や冷却効率の改善が課題となるほか、AIインフラ投資が短期的には収益圧迫要因となる可能性もある。
今後は、AI需要の拡大と持続可能性の両立が業界全体に問われるテーマとなるだろう。
ザッカーバーグCEOが「AIに関しては投資が不足して後れを取るよりも、多過ぎるぐらいの方が良い」と述べているように、積極的な姿勢が評価される一方で、投資の成果が中長期的にどこまで実を結ぶかが注目される。
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