野村総合研究所、AWSと戦略的協業契約 生成AIで企業の業務変革を加速

2025年10月16日、野村総合研究所(NRI)はアマゾン ウェブ サービス(AWS)と生成AI分野での戦略的協業契約を締結したと発表した。契約は同年6月に締結されており、国内企業におけるAI導入の加速や業務改革の支援を目的としている。
NRIとAWS、生成AI活用でエンタープライズ変革を推進
野村総合研究所(NRI)は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)との戦略的協業契約を通じ、企業の生成AI導入を全面的に支援する体制を整えた。両社は今後2年間で100社以上のエンタープライズ企業にAIを導入支援し、業務プロセスの変革を目指す。
AI導入は多くの企業で試行段階にとどまり、知識やガバナンス、セキュリティ面での課題が障壁となってきた。
NRIは業務コンサルティング力とシステム実装力を強みに、AIの全社展開を現実的なレベルへ引き上げる狙いだ。AWSの生成AIサービスと組み合わせることで、基幹業務からフロント領域まで一貫した自動化を推進する。
両社はまた、AIエージェント技術を活用し、業務効率と意思決定の迅速化を図る。
特に業界ごとの専門知識を踏まえたAIソリューションを提供することで、顧客企業の競争力強化を支援する方針を示した。
NRIは、AWSパートナーネットワーク(APN)の生成AIコンピテンシーを日本で初めて取得し、セキュリティやマネージドサービスなど8つの認定を保有している。この技術的優位性を基盤に、AI導入支援・人材育成・情報発信の3領域で協業を深化させる計画だ。
さらに、NRIは自社の「AI共創モデル」にAWSを新たに加え、燈やカラクリなどのAIパートナー企業と連携することも明らかにした。
AWSジャパンの渡邉宗行氏はNRIの知見と実績を評価し、両社の協業によるさらなるビジネス貢献に期待を寄せている。
生成AIがもたらす企業競争力の新潮流とリスクの両面
両社の協業は、企業が抱えるAI導入の「試行段階」から「全社展開」への転換を後押しする動きといえる。生成AIを実業務へ本格適用することで、意思決定のスピードや顧客対応の質を高め、業務コストの削減にもつながる可能性がある。
また、「AI共創モデル」にAWSが参画したことで、異業種連携による技術革新が進むと考えられる。AIエージェントや業界特化型LLMの開発が加速すれば、製造・金融・流通など幅広い領域で新たなビジネス価値が創出される見通しだ。
一方で、AI導入が進むほど、データ管理やセキュリティのリスクは増大する可能性が高い。
そのため、誤判定や情報漏洩の防止には、継続的なモデル精度の監査やガバナンス体制の強化が不可欠である。
AWSとNRIはこの課題に対し、専門認定を活かした堅牢な運用支援を提供すると思われる。
今後は、AI活用を経営戦略の中核に据えるかどうかが、企業の競争力を左右する重要な鍵となるだろう。
生成AIが単なる業務効率化の手段にとどまらず、価値創造の源泉となるか、注目される。











