NTTテクノクロス、限定メンバー型AIエージェントを導入 企業向け生成AI「ChatTX」新版を提供開始

2025年10月15日、NTTテクノクロス株式会社は企業向け生成AIサービス「ChatTX」の新バージョンを提供開始した。特定メンバーのみが利用できるAIエージェント作成機能を新搭載し、組織ごとの情報統制や活用状況の可視化を強化した点が特徴だ。
限定エージェント機能で安全なAI活用を推進
NTTテクノクロスの「ChatTX」は、生成AIとRAG(検索拡張生成)技術(※)を組み合わせた企業向けAIプラットフォームである。社内文書や独自の業務データを登録し、組織に最適化された回答を生成できるのが特徴だ。
新版の最大の特徴は、特定メンバー間でのみ利用可能なAIエージェントを作成できる点だ。これにより、例えば人事評価データを扱うエージェントを人事部内に限定したり、開発プロジェクト専用のAIをチーム単位で運用したりすることができる。従来の全社共有型から一歩進み、情報アクセスの粒度を柔軟に制御できる仕組みを備えた。
また、ユーザーごとの利用状況を可視化する新機能により、管理者は部署別・個人別の生成AI活用度を把握できるようになった。これにより、利用促進や教育施策をデータに基づいて計画することが可能になる。
さらに、ChatTXで選択できる大規模言語モデル(LLM)に新たにGoogleの「Gemini」が加わり、既存のChatGPT、Claude、tsuzumiとあわせて複数モデルから選択できる。用途や業務内容に応じた最適なAIを柔軟に組み合わせることが可能となった。価格は20ユーザーあたり月額7万7000円からとなる。
※RAG(検索拡張生成):生成AIが回答を出す際に、社内文書や外部データを検索・参照して精度を高める技術。
AI活用の自律化を後押し ガバナンス強化と分断リスクの両面
今回のChatTX新版は、生成AIの「安全な分散利用」という新たな方向性を示唆する動きとみられる。これまで生成AIは全社横断的な知識共有ツールとして注目されてきたが、情報機密度の高い領域では導入が進みにくかった。
限定メンバー型のこうした限定メンバー型のエージェント機能は、企業のAI活用戦略にも影響を与える可能性がある。
特に、情報漏えいリスクを懸念して導入をためらっていた企業にとっては、AI利活用のハードルを下げる効果が期待される。部署単位でクローズドな知識共有を実現できる点は、ガバナンス強化と効率化を両立させる一つの実務的アプローチと考えられる。
一方で、AIエージェントが過度に細分化されると、組織全体での知識共有が分断されるおそれもある。情報統制を優先しすぎれば、AIがもたらす横断的な知見活用のメリットが損なわれる可能性があるため、運用設計のバランスが求められる。
今後は、ChatTXのような「管理された自律的AI利用」を支援するプラットフォームの登場により、企業内のAIエコシステムが徐々に成熟することが期待される。
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