AI半導体規制の壁を越える OpenAI、オラクル支援で海外展開を加速

2025年10月15日、米OpenAIは米国外でのデータセンター拡張において、米オラクルの支援を受けていると明らかにした。AI向け半導体(※)の輸出規制が強まるなか、両社は安定的な供給体制と国際的なインフラ網の構築を進めている。
OpenAI、オラクルと連携しAIインフラを国外へ拡大
OpenAIのインフラ部門責任者ピーター・ホーシェレ氏は、オラクルの年次会議で「オラクルはあらゆる国で、われわれのワンストップショップのような存在になった」と語った。オラクルは各国の政策やセキュリティー基準に精通しているという。
OpenAIは米国内での大規模投資に加え、アラブ首長国連邦(UAE)やアルゼンチン、ノルウェーなどで新たなデータセンタープロジェクトを検討中である。米政府がAI向け先端半導体の輸出を一部制限するなか、トランプ政権はオラクルなど米企業のUAEプロジェクト向けに、エヌビディア製半導体を数十億ドル規模で輸出することを承認した。
OpenAIはAIモデルを支える計算資源の確保に向け、オラクルのほか、エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ブロードコムなどとも提携を結んでいる。オラクルとの契約総容量は5ギガワットを超え、OpenAIは同社最大の顧客となる見込みだ。
※AI半導体:人工知能(AI)の学習・推論処理に特化した高性能チップ。主にエヌビディアやAMDが製造しており、安全保障上の理由から米国政府が輸出を制限している。
地政学リスクと成長機会の両立 AI供給網再編の可能性を探る
今回の提携は、AI産業が直面する地政学的なリスク構造を映し出しているとみられる。
米中対立を背景に半導体の輸出規制が厳格化するなか、OpenAIがオラクルを介して各国でのデータセンター整備を進める動きは、供給リスク分散の一例として注目される。
米企業同士の連携により、規制の枠内で柔軟に事業を展開しやすくなる可能性もある。
一方で、国外展開の加速は新たな課題を伴う。中東や南米などの新興市場では、電力確保やインフラコスト、政策変更のリスクが懸念される。
また、AIデータセンターの増設は膨大な電力消費を要するため、環境負荷や持続可能性への対応も求められるだろう。
AIインフラの地理的分散は、今後一定の広がりを見せる可能性がある。米国主導の技術供給体制が変化し、地域ごとのAIエコシステム形成が進むシナリオも考えられる。
OpenAIとオラクルの協業は、AI開発を巡る国際的な主導権の再構築を示唆する動きのひとつと位置付けられそうだ。
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