伊藤忠、AI吹き替え技術で日本IPの海外展開を推進 Titan社と覚書締結

2025年10月15日、伊藤忠商事株式会社は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)およびAI音声変換技術を提供するTitan Intelligence株式会社と、多言語吹き替えAI「mimidub」を活用した事業展開に関する覚書を締結した。
日本のアニメや映画などのグローバル展開を支援する狙いがある。
伊藤忠、CTCとTitan社が多言語吹き替えAIで協業
伊藤忠商事はCTCおよびTitan Intelligence社とともに、AIによる多言語吹き替え事業の推進に向けた覚書を締結した。
Titan社が開発する「mimidub」は、日本語話者の声質や感情を保持したまま自然に多言語へ変換できるAI吹き替え技術であり、従来の翻訳・収録工程に比べてコストと時間を削減できる。
世界的に日本のアニメや映画、観光資源などの人気が高まるなか、音声翻訳や動画ローカライズの需要は拡大している。
市場調査によれば、言語サービスの世界市場は2025年に816億ドルから2030年には1,109億ドルに成長する見通しだ。
一方で、吹き替え費用の確保が難しい作品では、海外での無断翻訳や違法利用が散見されるという現状がある。
こうした課題に対し伊藤忠商事とCTCは、システム構築や運用の実績を生かし、mimidubの営業及び運用体制の構築を検討している。
伊藤忠が持つコンテンツIPネットワークを通じて、国内コンテンツの多言語展開を後押しし、日本のクリエイターや事業者の収益機会拡大を図るとしている。
AI吹き替えが拓く新たな市場 権利保護と収益循環の課題も
今回の協業は、AI技術によって言語の壁を超えた日本コンテンツの国際展開を加速させる可能性を持つ。
翻訳・収録コストの削減により、これまで海外展開が難しかった中小規模の作品にも新たな販路が生まれると期待される。
加えて、正式ライセンスに基づく吹き替え提供が進めば、無断翻訳や違法利用の抑制にもつながるだろう。
一方で、AIによる声質再現が声優業界に与える影響や、文化的ニュアンスの表現精度に関する懸念も残る。音声データの権利処理や倫理面のガイドライン整備が今後の課題となる。
伊藤忠商事は経営方針「The Brand-new Deal〜利は川下にあり〜」のもと、クリエイターの利益還元と持続可能な創作環境の構築を目指すとされる。
AI吹き替えの普及が進めば、日本発コンテンツが正規ルートで世界へ広がると同時に、権利者へ公正な収益循環をもたらす仕組みが形成されることが期待できる。
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