米セレブラス、UAEにAIインフラ構築へ スターゲート計画で中東AI拠点を狙う

2025年10月13日、米AI半導体新興企業セレブラス・システムズは、アラブ首長国連邦(UAE)で世界最大級のAIデータセンター群「スターゲートUAE」構築に参画する方針を示した。
セレブラス、スターゲートUAEに参画へ 中東でAI計算基盤の拡大狙う
フェルドマンCEOは「われわれのギアの大きなクラスターがここ(UAE)にできることを確信している」と述べ、米国外に建設される世界最大級のAIデータセンター群「スターゲートUAE」プロジェクトに自社インフラ設備を提供する可能性を明らかにした。
この計画は、メガワット級の演算能力を備えた施設群が複数建設されるとされる。
セレブラスは、AIチップ市場を支配する米エヌビディアと競合している。
同社は独自開発の大規模AIチップ「ウェハースケール・エンジン(※)」を武器に、高速演算環境を提供してきた。フェルドマン氏はIPO(新規株式公開)について「できる限り早期に再申請するつもり」と語ったが、具体的な時期については触れていない。
※ウェハースケール・エンジン:半導体ウェハー全体を1枚のチップとして利用するAI向けプロセッサー。演算性能が従来比で数十倍に達するとされる。
中東AIハブ化の可能性とリスク 米企業の戦略転換点となるか
セレブラスのUAE進出は、AI開発の地理的分散や資源多極化の動きを示す一例といえる。
これまでAI計算資源は米国西海岸に集中してきたが、UAEは低コスト電力や政策支援を背景に、地域内での技術拠点化を進めている。
セレブラスが現地での計算インフラを提供すれば、同地域のAI研究や生成AI産業の拡大につながる可能性もある。
一方で、米企業が中東に技術拠点を設けることには慎重な見方も根強い。
米国の輸出管理政策は依然として厳格であり、高性能AIチップや学習モデルの国外展開には制約が伴うことが予想される。
さらにたとえば、エネルギー供給が不安定化した場合や、米国・中東間の外交関係が変化した場合には、インフラ運用にも影響が及ぶ可能性がある。
これらの要因が、AI技術の共有や運用体制に不確実性をもたらす懸念もある。
UAEを中心としたAIインフラ拡充の動きは、米国主導の技術支配構造に多様性をもたらす可能性がある。
欧州やアジア諸国でも同様の分散型アプローチが模索されており、セレブラスの取り組みは「AI計算資源の地政学」を考える上で注目される事例といえる。
中東発のAI拠点形成が、今後の「計算資源と技術主導権」をめぐる国際競争の一要素となるかが注視される。
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