佐賀で「正しさより、面白さを選べ」展 AI時代における創造の本質を探る

2025年10月9日、佐賀市のイオンモール佐賀大和で、美術展「正しさより、面白さを選べ」が開幕した。
AIとの共生や人間の可能性をテーマに、九州にゆかりのある4人のアーティストが、計50点以上の作品を出展している。
AIと人間の共生をテーマに 九州出身アーティスト4人が50点超を展示
イオンモール佐賀大和が主催する本展は、アートを通してAI時代における人間の感性を見つめ直すことを目的として開催された。
第8弾となる今回は、「正しさより、面白さを選べ」をテーマに掲げ、佐賀や九州にゆかりを持つ4人のアーティストが参加している。
展示作品は50点を超え、AIでは再現が難しい人間の直感や感情、曖昧さを表現したものが中心となっている。
佐賀市出身のふくださちこ氏による「たていとよこいと」は、茅布巾の繊維模様から着想を得た作品で、無数の線を重ねることで布の質感を描き出している。
会場を担当する山口賢人プロデューサーは、「ユーモアだったり揺らぎだったり保留だったり躊躇だったりこういうものっていうのは正解を最短で出すAIでは表現できないものだと思う。一点一点の作品を見ていただくことによってそれぞれの方が自由に感じていただけたら幸いです。」と説明している。
展示期間は10月19日までで、会期中には公開制作やワークショップも行われる予定だ。
AI社会で再評価される人間の感性 創造の自由がもたらす可能性
本展が示す「正しさより面白さを選ぶ」という姿勢は、AIによる効率化が進む社会の中で、人間が持つ創造的思考の価値を再確認させるものといえる。
AIは大量のデータから最適解を導くことができるが、偶然の発想や感情の揺らぎといった非論理的な表現は苦手とされる。
この展示が提示するメッセージは、ビジネスや教育などの分野にも応用できるだろう。
効率や正確さを重視する風潮の中で、感性や自由な発想を取り戻す重要性を訴えている。
とりわけ生成AIが普及する現代においては、人間がAIに代替されない領域を再定義する契機にもなり得る。
一方で、AIを排除するのではなく、AIの分析力と人間の感性を組み合わせることで、新しい創作や表現の可能性が広がることも期待される。
アートを通じて「正解のない美」を体感するこの試みは、AI社会における人間の役割を考えるための再出発点となりそうだ。











