コインベース、NY州でステーキング解禁 ETHやSOLなど主要銘柄が対象に

2025年10月8日、米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)は、ニューヨーク州の居住者が同社で暗号資産のステーキングを利用できるようになったと発表した。米規制当局の厳しい監視下にある同州での提供解禁は、同社にとって大きな転換点となり得る。
NY州、ついにコインベースのステーキングを承認
コインベースはこれまで、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の厳格な規制により、同州の居住者へのステーキング(※)サービス提供が制限されていた。
しかし10月8日、同社はニューヨーク州のユーザーがイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)など主要暗号資産のステーキングに参加し、報酬を直接受け取れるようになったと正式発表した。
暗号資産専門メディア「ディクリプト(Decrypt)」によると、対象となるのはETH、SOLに加え、コスモス(ATOM)、カルダノ(ADA)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(POL)、ポルカドット(DOT)など多岐にわたる。
なかでもATOMは、年利16%超と高水準のリターンを見込めるという。
コインベースは発表の中で「ニューヨーク州の居住者が他州と同等の経済的機会にアクセス可能にするうえでの意義ある一歩」と述べ、ニューヨーク州知事キャシー・ホークル(Kathy Hochul)氏のリーダーシップを称賛した。
一方、コインベースは他州の規制によって、カリフォルニア、ニュージャージー、メリーランド、ウィスコンシンなどの住民が合計1億3,000万ドル(約198億円)超の報酬を得られなかったと指摘。
さらに、2025年春以降に複数州でステーキング関連の訴訟が相次いで棄却されたことを挙げ、「全国的なコンセンサスが形成されつつある」と説明した。
※ステーキング:暗号資産を一定期間預けることで、ネットワーク運営に貢献し報酬を得る仕組み。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)と呼ばれる合意形成方式の基盤となる。
用語集:Staking (ステーキング)
全米でステーキング解禁進む可能性も 規制緩和が市場拡大の鍵に
ニューヨーク州がコインベースのステーキングを正式に承認したことは、米国の暗号資産市場にとって大きな意味を持つ。
これまで同州は、暗号資産関連サービスに最も厳しい認可要件を課してきた。そのニューヨーク州がステーキングを認めたことは、規制当局がWeb3やDeFi(分散型金融)の技術的成熟を一定程度受け入れたサインとも考えられる。
一方で、ステーキングが依然として「未登録証券」に該当するか否かが明確にされていない点には懸念が残る。
コインベースにとって今回の承認は規制環境改善の兆しではあるが、全国的な統一ルールが整うまでは不確実性が残るだろう。米証券取引委員会(SEC)の姿勢次第では、市場が再び後退する可能性もある。
今回のニューヨーク州での解禁は、全米におけるステーキング規制の「再定義」の始まりとなる可能性が高い。市場は今後、ステーキングを単なる投資手段としてではなく、ブロックチェーンのインフラ的要素として再評価する段階に入るだろう。
規制の明確化と技術成熟が両立すれば、ステーキングは金融の新たな中核機能として定着するかもしれない。
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