富士通と米ARYA、高精度AIで不審行動を即時検知 リアルタイム監視の新基準を確立へ

2025年10月8日、富士通株式会社と米ARYA, Inc.は、映像解析AIと地理空間AIを組み合わせた不審行動検知ソリューションを共同開発・展開する提携に合意したと発表した。提携は9月22日に正式に締結され、リアルタイムでのセキュリティ強化を目指す。
AIで「見逃さない」監視を実現 富士通とARYAが次世代防犯ソリューションを発表
富士通株式会社と米ARYA, Inc.は、映像解析AIと地理空間AIを連携させた新たなセキュリティソリューションを共同開発する戦略的提携を締結した。これは富士通の「Uvance」オファリングの一つである「Smart Space」を軸に展開される。
本システムは、防犯カメラの映像を解析し、徘徊や立ち止まりなど不審な行動を自動で検知する。人物の動きを複数のカメラ間で追跡し、監視エリア全体の動向を統合的に把握できる点が特徴だ。
さらに、ARYAの地理空間AIが検知結果を地図上に可視化し、関係者間でリアルタイムに情報を共有できる。
両社はすでに米Wynn Resorts社の大型ホテルリゾートで実証実験を実施しており、AIが正確に異常行動を判定し、即時通知できることを確認している。これにより、従来の人手依存の監視から脱却し、少人数でも広域を効率的にカバーする体制が可能となる。
富士通は映像解析AI「Fujitsu Kozuchi for Vision」を提供し、ARYAはセキュリティプラットフォーム「City Connect」を通じて通知・共有を担う。
今後、両社は北米の空港やリゾート施設などへの導入を加速し、安心・安全な都市空間の実現を目指す。
AI防犯が変えるセキュリティの常識 効率化の裏に潜むリスクと期待
この提携は、監視業務の省力化と犯罪抑止を同時に実現する画期的な試みと言える。
AIによる映像解析と地理情報の融合は、従来の監視カメラが抱えていた「気づきの遅れ」や「見落とし」を根本から解消し、警備体制を質的に進化させる。
最大のメリットは、限られた人員でも広範囲の監視を可能にする点である。AIがリアルタイムで行動パターンを分析し、不審な動きを即時通知することで、現場の対応スピードが格段に上がる。
また、データが蓄積されることで、将来的には「起こりうるリスク」を事前に察知する予測型警備も視野に入るだろう。
一方で、プライバシー保護や誤検知への懸念も無視できない。
AIが常に人の行動を分析する性質上、映像データの管理体制や法的整合性をどう担保するかが重要な課題となる。運用の透明性と社会的理解が、普及の鍵を握るだろう。
それでも、都市化の進展に伴い増加するインシデントへの対応にはAI活用が有効とみられる。富士通とARYAの取り組みは、人とテクノロジーの協働による新たな防犯モデルの指針となる可能性が高い。
富士通 プレスリリース:https://global.fujitsu/ja-jp/pr/news/2025/10/08-01











