NEC、AIで安全運転指導を自動生成 クラウドサービス「くるみえ」を強化

2025年10月8日、日本電気株式会社(NEC)は、安全運転支援クラウドサービス「くるみえ」にAIを活用した新機能を追加したと発表した。
ドライブレコーダーの映像解析と生成AIによる指導文生成を組み合わせ、安全運転管理者の負担軽減と指導品質の平準化を図る。
NEC、AIで安全運転支援を強化 生成AI技術を他産業にも展開へ
NECが提供する「くるみえ」は、企業車両に搭載されたドライブレコーダーの映像や各種走行データを活用し、安全運転を支援するクラウドサービスである。
今回新たに追加された機能では、AIが膨大な映像データからヒヤリハット(※)となる場面を自動で抽出し、危険運転の要因を解析する。
さらに生成AI(大規模言語モデル:LLM)が分析結果をもとに、改善のための具体的なアドバイス文を自動生成する。
例えば、赤信号で急停車したケースでは「黄色信号を確認した時点で減速を開始する」など、状況に即した運転改善提案を提示する。
これにより、管理者ごとにばらつきがあった運転指導の品質を均一化し、経験の浅い担当者でも高水準の安全指導が行えるようになる。
また、AIがタグ付けした映像は横断歩道、赤信号などの項目で分類検索が可能で、ドライバーごとの傾向分析や事故要因の把握に活用できる。
タグ付けから検索までを包括することで、個別の指導計画立案から組織全体の運転戦略策定までを一貫して効率化できる。
新機能を搭載した「くるみえ 生成AIバージョン」は10月14日から提供開始される。
※ヒヤリハット:事故には至らないが、危険につながるおそれのあった事象。企業の安全管理では再発防止の重要指標とされる。
生成AIで安全管理を高度化 現場の経験差をAIが補完する時代へ
交通事故の削減や労働負荷の軽減が求められる中、NECの新機能は人に依存していた安全運転指導の領域をAIが支援する新たな一歩となる。
従来、運転映像の確認や指導文の作成には熟練した安全運転管理者のスキルが不可欠であったが、AIがこの作業を代替・補完することで、組織全体の教育品質を標準化できる利点がある。
一方で、AIが生成する指導内容の妥当性を人が確認する仕組みづくりも課題となる。
特に事故リスクが高い運行業務では、AIによる分析を鵜呑みにせず、現場の状況を踏まえた判断を維持する必要がある。
NECは今後も少人数かつ効率的な管理体制を支援する方針で、安全運転支援を起点にAIによる業務高度化の波が広がる可能性がある。











