北紡、累計約1.17億円のビットコイン保有 ドルコスト平均法でWeb3投資拡大

2025年10月2日、東証スタンダード上場の繊維メーカー北紡(旧北日本紡績)は、9月の1カ月間で約3,831万円分のビットコインを追加購入したと発表した。累計購入額は1億1,600万円超に達し、企業としてのWeb3・暗号資産投資への本格転換が進んでいる。
北紡、毎営業日200万円分のBTC購入を継続へ
石川県白山市に本社を置く繊維メーカーの北紡は、9月1日から30日にかけて2.27BTCを購入し、平均取得単価は1,687万円7,253円となった。これにより同社のビットコイン総保有量は6.84BTC、累計購入額は約1億1,662万円1,168円に拡大している。
取得方法にはドルコスト平均法(※1)を採用しており、今後も市場の急変がない限り、原則として毎営業日200万円相当のビットコインを買い増す方針だ。
同社は2025年5月に暗号資産およびRWA(※2)関連事業への参入を表明。その後7月にはビットコイン購入を予告し、8月には国内取引所ビットトレード(BitTrade)とWeb3およびグリーンエネルギー領域に関する基本合意書を締結した。今回の追加購入は、そのロードマップに沿った計画的な動きとみられる。
※1 ドルコスト平均法:価格変動を平準化するため、定期的に一定額を継続投資する手法。長期運用でリスクを分散できるとされる。
※2 RWA(Real World Asset):現実資産。不動産や債券などをブロックチェーン上でトークン化し、デジタル取引可能にした資産のこと。
企業のBTC戦略が示す新潮流 「実需なき投資」から「財務戦略」へ
北紡の動きは、国内上場企業によるビットコイン投資の潮流を象徴している。
北紡のようにドルコスト平均法を用い、日次で購入を積み重ねるケースは、価格変動リスクを分散しつつBTCを準備資産として積み重ねることができる。
同社が目標とする総投資額は8億円規模にのぼり、長期保有を前提とした企業型ポートフォリオ戦略の一端と考えられる。
一方で、ボラティリティの高い暗号資産に依存するリスクも残る。特に円安や金利変動などの外部要因がBTC価格に与える影響を無視できないため、財務体質の安定性が問われる局面も想定される。
それでも、製造業がビットコインを「事業変革の起点」として位置づける点は注目に値する。
世界では米ストラテジー社やテスラなどが同様の戦略を採用しており、日本企業が追随する動きは徐々に拡大している。ただし、この流れが持続的なトレンドとなるかは、価格の安定性と規制環境の整備に左右されるとみられる。
日本企業が米ストラテジーのような長期的BTC戦略を採用できるかどうかは、企業ガバナンスと会計基準の柔軟性にかかっている。
北紡の挑戦は、その試金石として今後の企業経営の在り方を問うことになるだろう。
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