香港、AI顔認識監視カメラを大幅増設へ 治安強化の裏で監視社会化に懸念

2025年10月3日、香港政府の治安責任者が、AIによる顔認識機能を備えた監視カメラを2028年までに6万台へ増設する計画を進めていると発表した。
香港、AI監視カメラを6万台に拡充 治安強化と引き換えに監視色強まる
香港政府は、人工知能(AI)による顔認識技術を搭載した監視カメラの大規模導入を進めている。立法機関に提出された文書によると、現在約4000台設置されているカメラを、2028年までに合計6万台へと拡大する方針だ。警察の犯罪対策プログラムの一環として位置づけられ、公共空間の監視強化が狙いとされる。
治安責任者クリス・タン氏は、犯罪容疑者の追跡など、人々に自然に活用されるだろうと根述べた。AIによる群衆の動態分析やナンバープレート認識もすでに行われており、導入後に400件超の事件解決、787人の逮捕につながったという。
中国本土では、最先端技術での公共空間の監視システムが導入されており、香港の動きはその体制に近づくものとみられている。
技術進化がもたらす安全と自由のジレンマ
AI監視カメラの拡大は、犯罪抑止や公共安全の向上に一定の効果があると考えられるよそうよ
一方で、市民の自由やプライバシーを脅かすリスクもはらんでいる。犯罪発生の予兆を早期に検知し、迅速な対応を可能にする点は利点であり、観光やビジネスの安全性向上にもつながる可能性がある。
しかし、顔認識AI(※)は誤認識のリスクを伴い、無実の市民が不当な取り締まりを受ける可能性も指摘されている。
英国でも同技術の導入に対し、プライバシー侵害や監視権限の肥大化を懸念する声が上がった。香港でも同様の懸念が予想されている。
今後の焦点は、技術の透明性と運用ルールの整備にある。
監視映像の利用目的や保存期間、アクセス権限を明確にしなければ、社会的信頼が損なわれる可能性がある。
AIによる監視が不可避となる時代において、香港がどこまで自由と安全の均衡を保てるかが問われるだろう。
※顔認識AI:AIが映像から人の顔を自動識別し、データベースと照合して個人を特定する技術。防犯や入退室管理に利用される一方で、誤認識や情報漏えいの懸念もある。
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