五泉市にAI接客「さくらさん」登場 多言語で観光案内を強化

2025年10月1日、新潟県五泉市の交流拠点複合施設「ラポルテ五泉」に人工知能接客サービス「AIさくらさん」が導入された。観光案内所に設置され、市内の見どころや飲食店を日本語、英語、韓国語、中国語で案内する仕組みだ。
五泉市観光案内所にAI「さくらさん」 多言語対応で地域PR強化へ
五泉市は観光資源の発信力を高めるため、ラポルテ五泉の観光案内所に「AIさくらさん(※)」を導入した。訪問者が市内の観光地や名店を尋ねると、音声で回答するほか、パネルに地図やテキスト情報を表示する。地図はQRコードで表示可能で、利用者はスマートフォンで持ち帰ることができる。
観光やグルメに加え、イベント情報の案内にも対応する。対応言語は日本語、英語、韓国語、中国語の4カ国語で、多言語対応力を強化した。外見には特産品「五泉ニット」の衣装を採用し、肩にはマスコット「いずみちゃん」を乗せた。衣装はクリスマスや正月など季節のイベントに合わせて変化する仕組みも盛り込まれている。
導入初日には除幕式が開催され、田辺正幸市長が出席。「これからさくらさんが五泉のPRに毎日笑顔で貢献してくれると思う」と述べた。
※AIさくらさん:ティファナ・ドットコムが開発した人工知能接客サービス。企業や自治体の窓口業務や観光案内所に導入が進んでいる。
利便性と地域振興に期待 AI観光案内の課題と展望
AI観光案内の導入は、地方都市にとって人材不足を補い、観光客に安定したサービスを提供できる可能性がある。特に外国人旅行者に対しては、複数言語で即時に対応できる点が強みになると考えられる。
時間や人員に制約されず観光情報を提供できることは、地域の魅力を発信する新たな武器となる可能性がある。
一方で、課題も無視できない。AIは定型的な情報提供には優れるが、利用者の感情や細かな要望に応える柔軟さは限られる。観光現場で求められる「人間ならではの接客」を完全に代替することは難しいと考えられる。
また、案内内容の鮮度を保つには常時の更新が欠かせず、運用体制の整備が成否を左右する。
今後はAIと人間の役割をどう分担するかが焦点になるだろう。AIが標準的な案内を担い、人間が交流や相談など高度な接客を担うことで、観光体験の質を向上させられる可能性がある。
五泉市の取り組みは、地方自治体がデジタル技術を観光資源発信に活かすモデルケースとして注目される可能性がある。
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