李大統領、AI投資で金産分離規制緩和を検討 韓国産業界に波及か

2025年10月1日、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領がAI分野に限り、金融資本と産業資本を分離する「金産分離規制」の緩和を検討する意向を示した。大統領室でオープンAIのアルトマンCEOと会談した際の発言が報じられたものである。
AI分野限定で金産分離規制緩和を視野に
李在明大統領は1日、大統領室でサム・アルトマンCEOと会談し、AI産業投資拡大に伴う資金調達の円滑化を目的に、金産分離規制を緩和する可能性を示した。
金容範(キム・ヨンボム)政策室長によれば、半導体やAI関連企業が大型投資を実行する時期に合わせ、民間資本の導入を容易にする狙いであるという。
金産分離規制は1982年に導入され、財閥による金融会社の私的利用や不公正取引を防ぐ目的で維持されてきた。
しかしIT発達により、金融と非金融の業務領域は曖昧になり、産業融合が進む状況である。規制が新産業分野の投資障壁となるとの企業側の指摘もあり、李大統領はAI分野への適用に限定して緩和を示唆した。
さらに、12月設立予定の国民成長ファンド(150兆ウォン規模)や企業型ベンチャーキャピタル(CVC)の活用も議論されている。
金融当局高位関係者は、「一般持ち株会社のCVC関連金産分離が解除されれば委託運用会社(GP)を買収することができ大規模資金執行が可能だ」と述べた。
一方、金室長は規制緩和には社会的合意が不可欠であると指摘した。民主党の一部は従来から反対しており、政府与党間での議論も必要だと説明する。
他国の政策を踏まえ、韓国も時代に応じた柔軟な規制見直しの検討が求められるとの見解を示した。
規制緩和の波及効果と課題 投資促進と独占懸念のバランス
金産分離規制緩和は、AIや半導体といった戦略産業への投資を拡大させる可能性を秘めている。企業は民間資本を引き込み、長期プロジェクトの計画的推進が可能になるため、技術競争力強化につながると期待される。
国内外の投資家に向けて、韓国市場の魅力を向上させる効果もありそうだ。
一方で、規制緩和は独占や不公正取引のリスクを伴う。
特に既存の財閥による資本集中や市場支配が懸念され、社会的合意形成なしの実施は反発を招く結果にもなりかねない。政府は透明性や監督強化を同時に進める必要があるだろう。
金融当局はCVC活用による大規模資金運用を視野に入れており、投資効率の向上が見込まれる。国民成長ファンドの運用次第では、AI関連プロジェクトの迅速な立ち上げや国際競争力向上に寄与する可能性が高い。
長期的には、金産分離規制の部分的緩和が韓国の産業政策や投資環境の在り方を見直す契機となりうる。
投資促進と市場監督のバランスをいかに維持するかが、今後の焦点となるだろう。











