米SEC、暗号資産ETFの手続き迅速化へ 19b-4申請書撤回を要請

2025年9月29日、米証券取引委員会(SEC)がXRPやSOLなどを含む暗号資産ETFに関する19b-4届出書の撤回を発行体に要請したと報じられた。
9月17日に承認された新しい包括的上場基準により、手続きが簡素化される見通しである。
SEC、新基準承認で暗号資産ETFの上場手続きを簡素化
米証券取引委員会(SEC)は、複数の暗号資産ETFの発行体に対し、既存の19b-4届出書を撤回するよう要請したとジャーナリストのエレノア・テレット氏が報じた。
19b-4届出書とは、取引所が独自の取引ルール改定やETF上場をSECに申請する際に必要となる書類で、従来の暗号資産ETF承認プロセスでは不可欠とされていた。
対象となるのは、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)、エイダ(ADA)、ライトコイン(LTC)、ドージコイン(DOGE)となる。
今回の決定の背景には、SECが9月17日に承認した「コモディティ信託型シェア(Commodity-Based Trust Shares)」に関する新たな包括的上場基準の存在がある。
この基準は、ETF型商品の迅速な上場を可能とするためのものだ。
対象の原資産が市場間監視グループ(ISG)加盟市場で取引されているか、または指定契約市場(DCM)で6カ月以上取引されており、かつ取引所が監視共有契約(CSSA)を結んでいる場合、取引所はSECに個別申請を行わずにETFを上場できる。
ただし、ETF発行体によるS-1届出書(Form S-1)の審査は依然として不可欠であり、今回の新基準は19b-4に限定した手続き簡素化にとどまる。
従来のフローでは、取引所が19b-4を提出し、承認後に発行体のS-1が審査される仕組みだった。
SECはこの枠組みを見直し、19b-4は汎用基準下で不要とすることで、柔軟な上場承認を可能にする方向へ動いている。
ETF承認迅速化で市場拡大期待 投資家にとっての利点とリスク
新しい上場基準の承認は、暗号資産市場にとって転換点となる可能性がある。
テレット氏は「新プロセスが意図通りに機能している」と評価し、今後はS-1届出書のみでETF承認が進むと指摘した。
従来の複雑な二段階手続きが簡素化されることで、発行体にとってコストと時間の削減につながるほか、投資家も多様な暗号資産ETFにアクセスできる機会が拡大すると見込まれる。
メリットとしては、市場参入障壁の低下と新商品投入の迅速化が挙げられる。
これにより、暗号資産を裏付けとする金融商品の普及が加速し、機関投資家から個人投資家まで幅広い層が恩恵を受けることになるだろう。
一方で、規制当局が承認を簡略化することは、リスク管理や投資家保護の観点で課題を残す可能性もある。
特に、価格変動の激しいトークンを裏付けとするETFが急速に拡大すれば、市場のボラティリティが高まる懸念がある。
今後はSECがどの程度S-1審査を厳格に運用するかが焦点となりそうだ。
新基準によってETF承認の門戸は広がるが、同時に規制監督の在り方が問われる局面でもあると言える。











