楽天、NFTマーケットをチケットリセール専用「みんなのチケット」に刷新

2025年9月30日、楽天グループ株式会社はNFTマーケットプレイス「Rakuten NFT」を刷新し、ブロックチェーン技術を活用したチケットリセールプラットフォーム「みんなのチケット」として提供を開始した。日本国内でのサービス展開となる。
ブロックチェーン活用で安全なチケット二次流通を実現
「みんなのチケット」は、デジタルチケット「NFTチケット」を用いて、チケットの一次販売から二次流通までをオンラインで完結させる仕組みを備えている。
NFTチケットには所有者情報や取引履歴がブロックチェーン上に記録され、偽造や不正転売を防止できるため、ユーザーは安心して売買可能である。
出品者は基本的に自由に価格を設定できるが、一部のチケットには価格変動を抑制するための上限・下限が設けられる場合もある。
さらに、二次流通が行われた際には、主催者や関係者へロイヤリティーが還元される構造が採用されており、健全で持続可能な流通環境を整えている。
本サービスの前身「Rakuten NFT」は2022年にNFTマーケットプレイスとしてスタートし、2024年には「NFTチケット」機能を導入していた。
プロ野球「楽天イーグルス」やサッカー・明治安田J1「ヴィッセル神戸」の公式チケットリセールにNFTチケットを活用するなど、楽天経済圏との連携が特徴であった。
今回の刷新により、楽天はNFTチケット販売をエンタメ全般に拡大する方針だ。スポーツや音楽イベントなど幅広い領域での活用を見据え、ユーザーの利便性向上と新しい体験の提供を目指している。
NFTチケット普及で広がる利便性と潜在リスク
「みんなのチケット」により、不要となったチケットの販売や欲しいチケットの購入をユーザーは安心かつ容易に行えるようになり、市場流動性が向上することが期待される。
特に、出品価格の自由設定やロイヤリティー還元は、参加者の利益と主催者収益の両立を可能にし、従来のチケット市場にはない持続可能性をもたらすだろう。
一方で、NFTチケットの普及にはブロックチェーン技術への理解やウォレット管理など、ユーザー側の新たな学習コストが伴う。
また、デジタル環境に依存するため、システム障害やサイバー攻撃によるリスクも排除できない。これらは導入初期の利用障壁として意識する必要がありそうだ。
将来的には、スポーツ・音楽だけでなく演劇やフェスなど幅広いイベントへの展開が見込まれる。国内での成功事例が増えれば、NFTチケットの標準化や市場全体の信頼性向上にも寄与するだろう。加えて、二次流通に伴う価格変動や不正利用の監視体制が整うことで、既存のチケット販売モデルにも影響を与え、新しいマーケット形成の契機となる可能性がある。
ユーザー・主催者双方の利便性を高めつつ、安全性を担保する運営が今後の鍵となるだろう。











