シャープリンク、自社株式トークン化発表 イーサリアム上でオンチェーン化

2025年9月25日、米ナスダック上場のシャープリンクゲーミングは、フィンテック企業スーパーステートと提携し、自社株式をイーサリアム上でトークン化すると発表した。
規制準拠の取引を可能にする仕組みで、米国金融市場のオンチェーン化を後押しする動きとされる。
シャープリンク株、イーサリアム上でトークン化へ
シャープリンクゲーミング(SharpLink Gaming)は、スーパーステート(Superstate)と連携し、自社株式(SBET)をブロックチェーン上で発行する取り組みを進めている。
株式はスーパーステートが提供するオンチェーン株式上場プラットフォーム「オープニング・ベル(Opening Bell)」を通じてトークン化(※1)される。
今回の取り組みは、従来の合成資産やラップトークンではなく、米証券取引委員会(SEC)に正式登録された実株式を対象にしている点が特徴である。
株式をオンチェーン化することで、セルフカストディウォレット(※2)での保有やデジタル金融商品との統合が可能となる。
さらに、取引はDeFi(分散型金融)プロトコル上でAMM(自動マーケットメイカー)を通じて実行される予定だ。
この流れは、SECが進める市場デジタル化構想「プロジェクト・クリプト(Project Crypto)」の方向性とも一致しており、規制環境の中で株式トークン化が着実に進展していることを示している。
オープニング・ベルは2025年5月にローンチされ、同年9月3日にはナスダック上場企業ギャラクシーデジタルが、自社株式(GLXY)をソラナ上でトークン化した。
これは、SEC登録済み株式をパブリックチェーンで直接トークン化した初の事例とされている。
また9月22日には、フォワードインダストリーズも同様の試みを発表しており、上場企業による事例が相次いでいる。
(※1)トークン化:実在する株式や資産をブロックチェーン上のデジタルトークンに変換すること。
(※2)セルフカストディウォレット:投資家自身が秘密鍵を管理し、第三者を介さずに資産を保有する仕組み。
株式のオンチェーン化が広げる可能性と課題
シャープリンクの動きは、株式市場におけるトークン化の実用化を一段と進めるものと位置づけられる。
オンチェーン取引が普及すれば、24時間取引の実現や、国境を越えた資本移動の効率化など、金融市場に新たな流動性をもたらす可能性が高い。
セルフカストディにより資産管理の柔軟性が向上し、既存の金融商品との統合が容易になれば、投資家にはメリットとなるだろう。
一方で、規制当局との調整や法制度の整備は依然として課題になると思われる。
トークン化株式の普及が急速に進んだ場合、既存の市場インフラや証券決済システムとの整合性が問われることになる。
さらに、DeFiプロトコル上での取引は利便性を高める反面、サイバー攻撃やスマートコントラクトの脆弱性といったリスクを伴う。
今後は、シャープリンクやスーパーステートの事例が市場参加者に与える影響が注目される。
特に、他のナスダック上場企業が同様に自社株をトークン化する流れが加速すれば、オンチェーン証券市場の拡大に拍車がかかるだろう。
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