イーサリアム財団、「Ethereum Everywhere」発足 世界のローカルコミュニティを後押し

2025年9月24日、イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)は、世界各地のコミュニティを結びつけ支援する新たな取り組み「Ethereum Everywhere」を発足した。イベントや開発者支援を通じ、ネットワーク全体の発展を後押しする構想である。
世界規模でコミュニティを結ぶ新イニシアチブ
Ethereum Everywhereは、地域ごとに活動するイーサリアムコミュニティやイベントを支援し、持続的な発展につなげることを狙った取り組みだ。財団は交流会、開発者向けワークショップ、コミュニティ主導のイノベーションハブ、カンファレンスなどに重点的に関与する方針を示している。
同プロジェクトは公式Xアカウント【@EFetheverywhere】を通じて最新情報を発信していく予定で、グローバルな参加者の接点を広げる仕組みを提供する。
Ethereum Everywhereは「ローカルコミュニティこそがイーサリアムの生命線」と強調しており、ミートアップやハッカソンといった活動はメインネット(※)のアップグレードに匹敵する重要性を持つと訴えている。
背景には、財団のエコシステム支援戦略の刷新がある。
7月にはエコシステム開発(EcoDev)部門を再編し、「利用者数の最大化」と「インフラの回復力強化」を掲げた。また、8月には、エコシステムサポートプログラム(ESP)が助成金申請の受付を一時停止し、活動方針を見直す姿勢を示していた。
さらに、財団は今月、AIとブロックチェーンを掛け合わせた研究開発を担う新チーム「dAI」を設立した。
コア開発者のダビデ・クラピス氏は「イーサリアムはAIをより信頼できるものにし、AIはイーサリアムをより有用にする。インテリジェントエージェントがより多く取引するほど、価値と評判のための中立的なベースレイヤーが必要になる」と説明している。
※メインネット:ブロックチェーンの本番環境を指す。テストネットとは異なり、実際の価値を持つトランザクションが記録される。
AI研究とも連動 次世代エコシステムへの布石
Ethereum Everywhereの意義は、地域に根差したコミュニティを強化し、エコシステム全体の多様性を底上げできる点にあると考えられる。
各地で活動する開発者や研究者が支援を受けることで、技術の裾野は広がり、分散型ネットワークとしての生命力が高まるだろう。これにより、AI関連のユースケースが現場発で生まれ、ネットワークの実用性を押し上げる可能性がある。
一方で、財団が同時に進める再編や助成方針の変化は、支援対象の選定をめぐり一部のコミュニティに不透明感をもたらすリスクもある。資金配分や支援の基準が明確化されなければ、期待と懸念が交錯する展開になることも否定できない。
それでも、地域発の知見とAI研究の融合は、イーサリアムを単なるブロックチェーンから次世代の社会インフラへと進化させる契機となる可能性が高い。
資金配分や支援基準の透明性が鍵となり、公平性が確保されれば、次世代エコシステムの中核としても成長が期待できるだろう。
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