Perplexity、Max会員専用「Email Assistant」公開 AIがメール処理を自動化

2025年9月22日、米Perplexity AIはMax会員向けに「Perplexity Email Assistant」をリリースした。
メールの下書き作成、予定調整、優先度整理を支援し、個人秘書のように活用できる新サービスである。
Perplexity、AIがメールを整理・下書き・調整まで支援
Perplexityは、自社の有料プラン「Perplexity Max」会員限定で新機能「Email Assistant」を導入した。
ユーザーのGmailやOutlookに接続し、受信メールの要約や返信の自動草稿作成、会議のスケジュール提案を行うサービスだ。
これにより、日常的に時間を奪うメール処理の効率化が期待される。
これまでPerplexityは、「Comet Assistant」というツールを通じて質問処理やタスク支援を提供してきた。
内部データによれば、利用者の処理件数は従来比で3倍から、最大18倍まで増加したという。この成果を受け、メールという最も普遍的な業務領域にAIを展開することを決定した。
Email Assistantは、利用者の文体や優先順位を学習し、自然なトーンでの返信を下書きするほか、カレンダーの習慣を反映した時間提案も行う。
また、受信箱を「対応済み」「要処理」などに分類するスマートラベル機能も備える。重要なメールを見逃さず、優先順位を即座に把握できる点が特徴だ。
セキュリティ面でも、SOC 2やGDPR(※)への準拠を標準で確保し、学習データとして個人のメール内容を利用しないと明言している。
ユーザーは「assistant@perplexity.com」宛にメールを送信するだけで利用を開始できる仕組みだ。
※GDPR:EUにおける個人データ保護規則。企業が個人情報を扱う際の基準を定めた法制度。
効率化と情報保護の両立 ビジネス利用で広がる可能性と課題
Email Assistantは、単なる作業効率化にとどまらず、意思決定支援ツールとしての価値が見込まれる。
例えば「取締役会前に確認すべきメールを抽出してほしい」といった質問に即応できる点は、経営層やマネジメントにとって大きな利便性となるだろう。
これまでのAIツールが定型的なタスク処理にとどまっていたのに対し、意思決定の文脈に踏み込む点が注目される。
一方で、利用者の文体や判断基準を学習する設計は利便性を高める一方で、誤学習や過剰な自動化による誤送信の懸念は残る。
また、AIによるメール要約や分類が誤った優先度付けをすれば、重要な案件を見逃す危険性も否めない。
それでも、AIが「メール秘書」として普及すれば、従来は人力で担っていた業務を自動化し、企業の生産性を大幅に押し上げる可能性がある。
特に、社内外の関係調整に時間を費やすビジネス層にとっては導入のインパクトが大きいと考えられる。
今後は競合他社の動きや、企業のIT部門におけるセキュリティ検証の進展が普及の鍵を握ると言える。