Visa「クリック決済」日本でも開始 カード番号入力不要で安全性と利便性を両立

2025年9月16日、ビザ・ワールドワイド・ジャパンはオンライン決済サービス「クリック決済(Click to Pay)」を2025年内に日本で順次導入すると発表した。
カード番号や有効期限を入力せず、安全かつスムーズに取引できる仕組みが日本国内の利用者にも提供される。
Visa、日本で「クリック決済」を順次展開
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社は、オンラインショッピングにおける新たな決済手段「クリック決済」を日本市場に導入する方針を明らかにした。
この仕組みは国際標準規格であるEMVCo(※)に準拠し、カード番号や有効期限を利用者が都度入力する必要がなくなるのが特徴だ。
Visaのトークンサービスを基盤に、Visa SecureやPayment Passkeyと統合することで、安全性と承認率を向上させる狙いがある。
セキュリティ面で成果を挙げており、欧州のフードデリバリー大手Just Eat Takeaway.comでは、導入後に不正利用が50%減少し、承認率が8%改善する成果を上げた。
また、決済に要する時間も従来の4分の1に短縮されるなど、顧客体験が大きく改善しているという。
日本国内でも同様の効果が期待されており、特にeコマースの課題とされる「カゴ落ち率」の削減につながるとみられる。
2023年度の国内EC市場は24.8兆円規模に達しており、効率的な決済手段の普及は成長を後押しする要素となる。
導入には複数のパートナー企業が賛同している。
Adyenはユーザー体験改善とカゴ落ち率低下の両立を認め、SBペイメントサービスは加盟店の課題解決や業界全体の発展につながると評価した。
NTTファイナンスはサブスクリプション型サービスへの適用を検討し、契約継続率向上に資すると見ている。
クリック決済を利用するには事前登録が必要だが、国内で発行されているVisaカードは原則として全て対応可能だ。
今後、カード発行会社やペイメントサービスプロバイダを通じて、利用者は各社のウェブサイトやアプリから登録・利用ができるようになる見込みだ。
※EMVCo:国際的な決済規格を策定する団体。VisaやMastercardなど主要カード会社が加盟し、グローバルなセキュリティ基準を提供している。
利便性とセキュリティ両立 EC拡大の追い風に
Visaは、クリック決済の導入によって日本のオンラインショッピングの利便性を高めると同時に、安全性を強化することを目指している。
カード情報を加盟店ごとに入力・保存する必要がなく、一度登録すれば複数の加盟店で利用できる仕組みは、消費者にとって負担軽減となる。
結果として、取引完了率の上昇や加盟店の売上拡大にもつながると期待される。
一方で、導入初期には利用者の登録作業が必要となるため、普及スピードはパートナー各社の実装力やプロモーションに左右されるだろう。
今後は、EC市場の拡大に伴い、セキュリティと利便性を兼ね備えた決済インフラへの需要が今後一層高まる可能性がある。
クリック決済が広く浸透すれば、消費者・事業者双方に恩恵をもたらし、日本のキャッシュレス化の加速に拍車がかかることが期待される。