クラーケン、一般投資家向けに無期限契約取引「Kraken Perps」を開始

2025年9月12日、米暗号資産取引所クラーケンは、一般投資家向けに無期限契約取引「Kraken Perps(クラーケン・パープス)」の提供開始を発表した。
従来は上級者向けサービスで展開していたが、今回は一般向けアプリでも利用可能になった。
クラーケン、無期限契約を一般投資家に開放
クラーケンは9月12日、無期限契約取引「Kraken Perps」の一般向け提供を正式に発表した。
従来は上級者が利用する「Kraken Pro」でのみ提供されていたが、今回からは同社のモバイルアプリに実装され、より幅広い投資家がアクセスできる環境が整った。
無期限契約(パーペチュアル契約)は、対象資産を実際に保有せずに価格変動に応じた取引が可能な仕組みである。
同サービスを通じた取引では満期や拘束期間がなく、投資家は相場の動きに応じて柔軟にポジションを保有できる点が特徴だ。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要暗号資産を対象とし、ステーブルコインを担保に取引が行える。
暗号資産市場ではすでに多くの取引所が同様の派生商品を提供しているが、その複雑さやリスクの高さから一般投資家の利用は限定的だった。
クラーケンは、取引経験にかかわらず幅広い層が安心して利用できるよう、カスタマイズ可能なストップロス機能などリスク管理ツールを備えた。
これにより、急激な相場変動に伴う損失を自動的に制御できる仕組みを導入している。
さらに同社は今後、投資初心者向けの教育コンテンツを提供する方針を示している。
市場拡大の追い風か リスク管理が鍵に
今回の「Kraken Perps」一般公開は、暗号資産取引の裾野を広げる可能性がある。
従来は高度な知識を持つトレーダーが中心だった無期限契約市場に、新たに一般投資家層が加わることで、取引高や流動性の拡大が期待される。
とりわけ、アプリを通じたシンプルな利用環境は、若年層を含む新規ユーザーの呼び込みにつながるだろう。
一方で、価格変動の大きな暗号資産市場において、無期限契約は高リスクな取引であることに変わりはない。
担保の減少や清算リスクに直面する投資家が増えれば、市場全体の不安定要因となりかねない。
今回導入されたストップロス機能などの安全策が、どの程度実効性を持つかは今後の利用状況によって検証される必要がある。
また、規制当局による監視強化の動きも無視できない。
各国で規制のあり方が議論されうるため、利用者保護や市場健全性の観点から新たなルールが導入される可能性がある。
クラーケンにとっては、利便性と透明性を両立させることが事業継続の前提条件になると言える。
総じて、今回の取り組みは一般投資家に新たな選択肢を提供する意義を持つが、その普及はリスク管理と規制環境への対応にかかっているだろう。
利便性が投資家の裾野拡大を促す一方で、健全性維持の取り組みが欠かせない局面に入っている。
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