氷川きよし楽曲でAIショートムービー競演 最優秀賞は「AoKi104」

2025年9月14日、東京都内で行われたAI活用ショートムービーコンテスト「COLOTEK(コロテック)」の最終審査会で、氷川きよしの楽曲「Party of Monsters」を使用した作品の最優秀賞が決定した。日本コロムビア主催の初開催イベントである。
AIと音楽融合の舞台で28チームが作品競う
今回の「COLOTEK」は、AIを活用してショートムービーを制作する新たな試みである。
課題曲には演歌歌手の氷川きよしが歌うJ-POP「Party of Monsters」が採用され、参加チームは「ハロウィーンを盛り上げる」をテーマに独自の映像表現を追求した。
全国から28チームが応募し、AIによる映像編集や生成技術を駆使して約2分の短編作品を制作した。作品は音楽とのシンクロや演出の独創性などが審査基準となった。
最終審査会では、男女2人組の「AoKi104」が最優秀賞に輝いた。
受賞作では、目立ちたがり屋の女性とモンスターの掛け合いをコミカルに描き、AI特有の映像効果が印象的に用いられている。
日本コロムビアは今回の反響を受け、来春には美空ひばりを題材とした次回コンテスト開催を予定しており、AIと音楽の融合をさらに推進する考えだ。
AIと音楽がもたらす創作の拡張 新市場を生む契機となるか
今回の「COLOTEK」は、音楽とAIを融合させることで、従来のファン層を超えた新しい表現の場を切り開いた点に意義がある。
若年層やクリエイターにとって、AIを駆使して有名アーティストの楽曲を再解釈できる機会は大きな魅力となるだろう。
一方で、AI活用による作品生成には、著作権の管理や制作の独自性が薄れるリスクも存在する。特に商業利用を視野に入れる場合、権利処理や倫理的な議論が避けられない課題になると考えられる。
ただし、企業にとっては新規市場開拓の大きなチャンスとなりうる。
アーティストの資産をAIで再展開することで、イベントや配信サービスの差別化が進み、収益モデルの多様化が期待できる。
将来的には、国内外のレーベルが同様の試みに参入する可能性も高い。AIと音楽の掛け合わせは単なる実験段階を超え、ビジネスモデルとして確立していく局面に入りつつあると言える。